沖縄・素潜り漁師の社会誌
――サンゴ礁資源利用と島嶼コミュニティの生存基盤


高橋そよ
四六版/276(カラー口絵8)ページ/本体3700円+税/2018年4月

ISBN 978-4-86187-149-8

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サンゴ礁を生業の場とする人びとの生活戦略や漁撈技術、
資源利用と自然認識・民俗知識、サンゴ礁の資源利用を成り立たせている
島嶼コミュニティと取引慣行に基づく「情」の経済などを、
素潜り漁師の小舟に同乗しての参与観察なはじめ
約20年間のフィールドワークから明らかにした労作。



<目次>

序章 本書の目的と構成
  1 本書の目的と視座
  2 沖縄のサンゴ礁自然利用をめぐる研究動向
  3 調査方法
  4 本書の構成

第1章 調査地の概要
  1 調査地域の自然と社会
  2 水産資源の商品化からみた島の暮らしの変遷――近代から現代へ
  3 グローバル市場の周縁に生きる島嶼経済

第2章 素潜り漁師の自然認識と民俗分類
  1 素潜り漁師の自然認識
  2 漁撈活動を支える民俗知識
  3 魚の名称と命名法
  4 民俗知識の運用――漁場をめぐる「地図」に何が描かれるのか?
  5 自然と共に生きる知識

第3章 素潜り漁師の漁撈活動――民俗知識とその運用
  1 潜水による漁法の特徴
  2 素潜り漁の漁撈活動とサンゴ礁地形の利用

第4章 魚が紡ぐ島嶼コミュニティ――「情」の経済と生活戦略
  1 魚が紡ぐコミュニティ
  2 「ウキジュ」という経済慣行
  3 漁師と仲買いの紐帯
  4 ツムカギと社会関係の維持
  5 ウキジュと「情」の経済

第5章 見えない自然を生きる――自然観と社会的モラリティ
  1 民俗方位ヒューイと方忌み
  2 マジムヌとカエルガマの儀礼
  3 聖なる空間と漁場利用

終章 島嶼コミュニティの生存基盤の理解にむけて
  1 まとめに代えて
  2 今後の課題と展望

あとがき
初出一覧
参考文献
附表 魚の方名(沖縄・伊良部島佐良浜地区)
索引




<編著者プロフィール>

高橋そよ
1976年生まれ、博士(人間・環境学)、専門:生態人類学。琉球大学研究推進機構研究企画室リサーチ・アドミニストレーター。
島をフィールドとした人類学的研究に憧れて、北海道から琉球大学に入学し、伊良部島の素潜り漁師さんに弟子入りをする。京都大学大学院人間・環境学研究科修了後、米国・東西センターの客員研究員、野生動植物の国際取引をモニタリングする国際NGOトラフィックのプログラムオフィサーなどを経て、現職。現在は琉球大学に勤務するかたわら、琉球列島各地で人とサンゴ礁との関わりをめぐる自然誌の記録に取り組んでいる。
共著=「『楽園』の島シアミル」宮内泰介・藤林泰編著『カツオとかつお節の同時代史――ヒトは南へ、モノは北へ』(コモンズ、2004年)。 主論文=「沖縄・佐良浜における素潜り漁師の漁場認識――漁場をめぐる「地図」を手がかりとして」(『エコソフィア』第14号、2004年)、「魚名からみる自然認識――沖縄・伊良部島における素潜り漁師の漁撈活動を事例に」(『地域研究』第13号、2014年)など。


<書評>

佐良浜で素潜り漁を行う池村武信さん(79)の家に住まわせてもらい、“弟子入り”して毎日一緒に海に潜った。(中略)過ごすうちに、漁師たちが生態を熟知して魚種うぃ名付け、地形や魚種に応じて何種類もの漁法を使い分けることが見えてきた。水揚げされた魚は、高値を競うセリではなく、全て買い取る「ウキジュ」と呼ばれる関係で多様な魚種を活用していた。「この年に生まれた人はあの場所で漁をしてはいけない」といった“タブー”は結果的に漁場を休ませ、多くの人が漁場を利用できる仕組みに見えた。そこには自然を鋭く丁寧に見抜き、人も自然も持続可能に暮らす知恵と技術があった。「島の暮らしが人の生き方や経済、社会の在り方を問い直してくれる」と力を込める。
『琉球新報』2018年4月27日(金)


(前略)意欲と研究方法を携えた著者は佐良浜に住み、漁師たちから風、波、潮、複雑なサンゴ礁の地形、魚の習性など、自然に関した知識や、魚の名前(方言名も)漁の仕方など、人が自然に向かうときの方法などを聞き取った、そして自らもスーニガマ(沖縄では一般的にサバニとよばれていて、積載量が3トン未満の舟)に乗って潜ったり、漁師たちの一挙一動を克明に記録した。それから獲った魚やイカなど漁獲物を仲買人に売るシステム(ウキジュと呼ばれている)を細かく調べ、佐良浜社会における契約や人間関係における「ツムカギ」を調べた。さらに佐良浜で年間を通して行われる祭りや祈りの場に参加して、神役の女性たちや彼女らをさせる男性たちの役割を描き出した。読んでいると、著者の好奇心、研究手法、文章力にグイグイ引かれていった。
『宮古毎日新聞』2018年5月30日

 

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