幸せのマニフェスト
――消費社会から
関係の豊かな社会へ


ステファーノ・バルトリーニ 著、中野佳裕 訳
四六判/344ページ/定価=本体3000円+税/
2018年8月

978-4861871528

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誰もが幸せになりたい。だが、多くの人たちが幸せとは感じていない。
その根本的な原因は関係性の質の悪化である。
そして、最も模倣してはならないのが米国だ。
先行研究によれば、消費主義に大きな価値を置く人は、
そうでない人と比べて幸福度は低く、
不安や苛立ちの諸症状やうつ病の高いリスクを抱えている。
多くのデータと多方面にわたる考察から、現代社会の不幸せの原因を探り、
解決の方向性を示す。



<目次>

日本語版への序文

序 章 幸福の逆説

第T部 短いマニフェスト
1 現代社会の病理
2 病の原因─価値観の変化
3 病の治療法─関係を豊かにする政策


第U部 米国─模倣すべきではない事例
1 米国人がいつも不幸せで、常に長く働かなければならないのはなぜか?
2 関係性の悪化が経済成長を生む


第V章 関係の質は何に依存するのか?
1 市場、価値、関係性
2 欲望の製造─マスメディア
3 人間は商品を買うために生まれたのか?
4 人間は働くために生まれてきたのだろうか?
5 我々はどのような生き物なのだろうか?


第W部 幸せのための政策
1 都市生活─関係の豊かな都市をつくる
2 子どものための政策
3 広告に対する政策
4 民主主義を変える
5 働き方をどう変えるか
6 健康のための政策
7 関係を豊かにする政策への反論


第X部 2008年の金融危機
1 恐るべき米国の消費者の誕生
2 防御的資本主義の内部爆発
3 何をすべきか?
4 オバマ政権を振り返る


第Y部 関係の豊かな社会は可能だ
1 可能な現実の要素
2 20世紀は終わった


〈解説〉 関係の豊かさとポスト成長社会
1 はじめに
2 翻訳の経緯
3 『幸せのマニフェスト』を読む
4 日本への示唆―関係の豊かな社会は可能だ





<著者プロフィール>

ステファーノ・バルトリーニ
イタリアのシエナ大学政治経済・統計学部准教授。ロバート・パトナムの社会関係資本の研究に影響を受け、経済成長と開発が先進社会の幸福度、社会関係、生活環境に与える様々な影響を分析する研究をイタリアで牽引している。2010年にイタリア語で刊行された『幸せのためのマニフェスト』は、ポスト成長社会の展望を「関係の豊かさ」に焦点を当てて考察する良書である。本国でベストセラーとなるほか、ヨーロッパ各国語に翻訳され好評を博している。日本語特別編集版では、欧米諸国における右派ポピュリズムの台頭の背景やマスメディアで取り上げられない急進左派運動の躍進についての分析など、2010年代の混迷する世界情勢についての考察を新たに加えている。


<書評>

本書は6つの部分に別れており、第1部では消費拡大が経済成長を支えるという「経済成長神話」が、実は経済が成長しても人々の幸福感は失われていくという致命的病に冒されており、その実情と原因そして治療法について本書全体を貫く著者の考え方が「マニフェスト」として要領よくまとめられている。第U部では著者がアメリカにその典型を見る「防御的資本主義」と呼ぶこの社会では、諸個人が商品を買うことに生きがいを見出し、そのため高収入を目指してより多く働き、そこから生じるストレスをさらに商品の購買で補おうとする悪循環に陥り、生活における幸福感の基礎である人間的関係性が経済成長の犠牲になっていると指摘する。(中略)
全体の校正や論述の仕方は明快で分かりやすい。前半の「防御的資本主義」の実情分析は具体的データも交えてビビッドに描かれ、今の日本社会にも当てはまるので「その通り!」と言いたくなる。
評者:野口尚孝(元千葉大学大学院)
『週刊読書人』(2018年9月21日号)

平均的米国人の「幸福度」が悪化の一途を辿っている現状を検証しながら、消費主義のエスカレートが関係性の喪失を招いている根拠を説く。一方で、ヨーロッパにおける働き方、環境保全、教育、文化など多様な領域での変革の試みを脱物質主義的な社会構想として提示する。日本の豊かさの内実を問う上でも傾聴に値するメッセージ。
『出版ニュース』(2018年10月中旬号)

豊かな社会の幻想が、どのようなマジックで蔓延してきたのか、徹底的に明らかにしてくれる。そして、その魔術からどのように解放されるか、何を拠りどころに社会と生活を再構築していくのか、タイトルと副題が端的に示唆している。消費の罠にとらわれた典型が米国社会であり、幸福度の低下と不安、いら立ち、健康リスクの増大の様子を詳細なデータで明らかにする…。あれあれ、それは私たち日本の現在の姿そのものではないか…。その負のスパイラル(らせん状)を著者は「防御的資本主義の内部爆発」と表現し、その破綻を2008年の米国発の金融危機に見る。(中略)最後に付けられた訳者の解説が、背景説明とともにポスト成長社会に向けた簡潔な案内になっている。私たちは、幸せの世界をどう展望できるのか、示唆に富んだ本書を導き手に皆で考えていきたい。
評者:古沢広祐(国学院大学経済学部教授)
『日本農業新聞』(2018年12月9日)

<インタビュー>

「経済成長は人々を幸せにしない」と説くイタリアの学者
ステファーノ・バルトリーニさん

  経済成長はある程度、幸福に寄与する。だが人の時間を奪い、人間関係を乏しくし、環境を壊す。それを補おうと人々は商品やサービスを買うので、経済は成長し続けるが、生きづらさは増す。「幸せの経済学」を専門にするイタリアのシエナ大学の准教授。フィレンツェですごした大学生の頃、高齢者を支える市民自助組織の事務所が家賃の値上げで閉鎖され、町は一変した。跡地にはきれいな店やバーが入ったが、高齢者は見守る人を失って孤立した。酒にすがり、亡くなる人もいた。「経済成長は幸せをもたらす、と大学で教わった。でもこの経験が私に疑いを抱かせたのです」

『朝日新聞』連載:ひと(2018年10月25日)

『週刊読書人』(第3257号、2018年9月21日)で紹介されました。
『電子メールマガジン[本]のメルマガ【vol.694】』(2018年9月25日)で紹介されました。



  
 

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