あなたを守る子宮内膜症の本[13刷]

日本子宮内膜症協会
A5判/264ページ/本体1800円+税
2000年/ISBN 978-4861870324

激増する子宮内膜症との上手なつきあい方を経験豊かな患者のプロ集団が親身に説く決定版。医療の現状、病気の原因と正体、薬や治療法、セルフケアなどを語り、心と体を間違った医療から守る。

 

目次

第1章 敵は自分のなかの子宮内膜症ではない
(1) いちばん大切なエッセンス
(2) 二〇世紀の日本の子宮内膜症医療
(3) だれも知らない日本の医療の質
(4) 心身に深く影響する家族との関係性
(5) 自分を守るために

第2章 子宮内膜症の医学(病気の正体)を知ろう
(1) 望ましい医療や医師を選ぶ基礎情報をもつ
(2) 生殖器の構造とはたらき
(3) 女性のからだのはたらき
(4) 子宮内膜症の正体
(5) 子宮内膜症の症状
(6) なぜ、子宮内膜症になったのだろう
(7) ダイオキシンと子宮内膜症
(8) 子宮内膜症が女性の人生に及ぼす影響

第3章 子宮内膜症の医療(病院ができること)を知ろう
(1) 「治療」すれば「治る」という幻想
(2) 医師の「松竹梅」で決まる診断の光と影
(3) 医師の「松竹梅」で決まっていた日本の医療状況を、私たちの選択で変えていく

第4章 からだと心を癒して、病気とともに生きる
(1) 「医療」と「セルフケア」と「セルフヘルプ」のトリプル効果で、病気を改善しよう
(2) JEMA(当事者市民団体)にできること

書評

書評オープン


救急車を呼んだり、転げ回ったりするほど強く痛む患者もいる。月経痛、それ以外の腹部の痛み、性行痛、腰痛……。子宮内膜症の女性はさまざまな痛みに苦しんでいる。しかし、医師は月経痛以外の痛みにはあまり関心を払わないで不妊に注目していた。
 子宮内膜症は子宮以外の場所に子宮内膜やそれに似た細胞が異常に増殖する病気だ。全国に百万人以上の患者がいると推定される。
 半年ほど治療を続けて治ったと思っても、多くの人が半年以内にぶり返す。
 「治したと思っていたのがボロボロと崩れた。私が手術した患者さんも半分ほど痛みが再発していた」と言った医師もいた。
 協会は、医師や製薬会社からも多くの情報を集め、患者に伝えられてこなかった事実をはっきりさせてきた。
 たとえば─―子宮内膜症は閉経まで完治はしない。それを告げないまま、薬を使って治療を始める医師もいる。
 完治すると思って副作用に耐えながら薬を飲んだ患者は、治療前と同じ痛みに襲われて失望する。
 閉経まで向き合わなければならない病気だと知っていれば、自分の生活スタイルに合わせて、いつ、どんな治療を受けるか、治療を休むかなどということをよく考え、選択していく必要があることがわかる。
 薬の効果の限界や副作用、腹腔鏡手術の効果と限界をよく知ると、現在の治療は病巣をしずめ、症状を緩和して、生活を立て直すためのものととらえることができる。
 患者自らが様々な医療情報を集め、それらを取捨選択して「賢い患者」になるための参考書として、協会は昨年十一月「あなたを守る子宮内膜症の本」を出した。
 代表のいぬい益美さんは「今後の課題は低用量ピルを治療の選択肢として普及させること。世界中で、副作用が少なく、症状を安定させられる薬として使われているのに、日本ではまだあまり普及していない」という。

『朝日新聞』(2001年3月18日)


『ふぇみん』(2002年5月15日)、『讀賣新聞』(2000年12月19日、夕刊)などで紹介されました。