肉はこう食べよう 畜産をこう変えよう──BSEを乗り越える道

天笠啓祐、郡司和夫、北林寿信、増井和夫、安田節子 著
四六判/208ページ/本体1700円+税
2002年3月/ISBN 978-4906640553

草中心の安全な自給飼料で牛を飼う生産者を応援し、その肉を適量食べることが、健康な体をつくり、食べる人を元気にし、作る人も活かす。いまこそ食べ方を変えて、自給と有機畜産に踏み出すときだ!

目次

はじめに 

第1章 BSEのメカニズムと日本の対応/天笠啓祐
 1 BSEは,なぜ起こる? 
 2 問題が多すぎる日本政府の対応 
 3 豚や鶏には発生しないのか 
 4 牛肉や牛乳などは本当に安全なのか 

第2章 酪農・肉牛産業の飼料はどうなっているのか/郡司和夫
 1 BSEが出た酪農家 
 2 乳牛と肉牛はどう飼われているのか 
 3 感染牛に与えられていた飼料 
 4 肉骨粉の流通経路 
 5 製造ライン分離のための資金援助を 

第3章 BSEは近代農業技術の帰結/魚住道郎
 1 肉骨粉を肥料に使ってはならない 
 2 BSEを契機に農業・畜産を建て直そう 

第4章 EU諸国はどう対応してきたか/北林寿信
 1 EU諸国に学ぶ 
 2 監視と屠殺・廃棄 
 3 家畜への感染を防ぐための飼料規制 
 4 人間への感染の防止 
 5 動物副産物の加工・処理・廃棄の方法 
 6 日本が取るべき五つの対応 
 7 アメリカの牛肉だから安全とはいえない 

第5章 牛の能力を活かして飼料自給型の有機的畜産へ/増井和夫
 1 BSEの発生で問われる輸入飼料への依存構造 
 2 有機畜産は「有機的畜産」の確立から 
 3 高度経済成長で背伸びを迫られた畜産 
 4 高投入・高産出型酪農との決別 
 5 地域の飼料資源の活用 
 6 生き方の選択としての山地酪農 
 7 消費者との連携が未来を拓く 

第6章 食生活を変えて健康になろう/安田節子
 1 牛の生理を無視した近代畜産 
 2 増え続ける肉の消費量 
 3 自給可能なレベルで肉を食べる 
 4 食べ方と健康の深い関係 
 5 和食の復権

書評

書評オープン


 牛海綿状脳症(BSE)の国内発生をうけ、フリージャーナリストや有機農家ら6人の著者が、日本の畜産がかかえる問題点と日本人の食べ方を検証し、今後のあり方を提言した。
今日本で使われている飼料の現状をリポート。輸入飼料に依存する畜産を、地域の飼料資源を活用した有機的畜産に変える必要性を指摘する。また消費者は自給可能な範囲に肉食を減らし、和食中心に変えるよう提案している。

『朝日新聞』(2002年4月6日より)


 本書はいまだ大きな余波を残しているBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)騒動を根本から説く。BSEの原因であるプリオンというタンパク質の変異はなぜ起きるのか。BSEは豚や鶏には発生しないのか。なぜ草食動物の牛が肉骨粉を飼料にするようになったのか。BSE問題を解決した欧州諸国の対処法は─。
「国が汚い飼料を仕入れて、業者がもうけてさ」。育てていた牛を国に焼却処分された酪農家の怒りの声も収録。肉食に依存しない、日本人に合った食生活を提案している。

『長崎新聞』(2002年5月5日より、共同通信配信記事)


そのほか、『中日新聞』(02年3月25日)、『全国農業新聞』2002/4/26、『農民新聞』(02年4月25日)、『食品と暮らしの安全』2002/5月号、『ガバナンス』2002/5月号、『ウーマンズ・アイ』2002/4/1号、『畜産コンサルタント』 2002/5月号、『農業共済新聞』02/6/12など。