有機農業──農業近代化と遺伝子組み換え技術を問う〈有機農業研究年報4〉

日本有機農業研究学会 編
A5判/280ページ/本体2500円+税
2004年12月/ISBN 978-4906640881

農業近代化路線を環境や安全性などの観点から問い直すとともに、遺伝子組み換え技術の環境や農業への本質的な影響を鋭く分析する。

目次

JAS有機農産物認証制度の呪縛◎刊行にあたって

第Ⅰ部 有機農業と近代主義

 第1章 水田農法近代化の環境論的意味
 第2章 有機農業技術は、はたして「生産性」を求めなければならないのか
 第3章 私の近代農業批判
 第4章 あらためて産消提携を考える

第Ⅱ部 遺伝子組み換え作物と共存できるか
 第1章 遺伝子組み換え植物の問題点を生殖生物学的に考える
 第2章 栽培植物の生物文化多様性の意義と課題
 第3章 遺伝子組み換え作物と知的財産権
 第4章 遺伝子組み換え作物の農業への影響と反対運動の論理

第Ⅲ部 有機農業教育と食育
 第1章 農業高校における食教育と有機農業
 第2章 子育て支援施設における食育と有機農業教育
 第3章 地産地消の学校教育に食育効果をあるのか

第Ⅳ部 有機農業を研究する
 なぜ、長期有機栽培農家でトマト根腐れ萎ちょう病が発生しないのか?
 有機野菜栽培技術の実態と問題点
 米国におけるCSA運動の多様化
 韓国における親環境稲作の現況と課題

有機農業研究、その動向把握のための第一歩

日本有機農業学会の活動

書評

書評オープン


 本書が冒頭に据えたのは、近代農業批判という、オーソドックスとも見える問題提起である。著者らは、研究者・実践者それぞれの立場から、近代農業やそれが依拠する「近代的精神」に内在する効率性偏重がもたらした弊害を、史実やみずからの体験を基に検証している。そこには、そうした近代精神へのアンチテーゼとして有機農業が位置づけられており、近代農業の行き詰まりを技術的解決策に求める政府への失意と実践者みずからの手による制度改変への決意が読み取れる。(中略)
現場の中で埋もれてしまいがちな実践者の知識や経験を掘り起こし、多くの興味深い事例や論考を世に送り出す絶好の機会として、本書の意義は大きい。

『農業と経済』vol.71(2005年6月より)


今回のテーマは「農業近代化と遺伝子組み換え技術を問う」。GM作物の農業への影響などについて研究成果を4例、掲載している。そのほか、農業近代化とのかかわりで4つ、有機農業と食育について3つの報告がある。栽培技術関係ではトマト、ホウレンソウを対象にした報告を載せている。

『日本農業新聞』(2004年12月16日より)


このほか『農業共済新聞』(05年4月2週号)でも紹介されました。