新・贈与論

――お金との付き合い方で社会が変わる!

林 公則
四六判/228ページ/
本体1900円+税

2017年9月
ISBN 978-4861871436

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お金を増やせば幸せになれるのか?
お金を社会のために役立たせるには、どうすればよいか?
贈与(寄付)で社会が変えられる!
ベストセラー『エンデの遺言』を受けて、
いま注目の社会的金融のあり方に正面から切り込み、
お金とは何かを根源的に考える。



<目次>
プロローグ いま、再び、お金を根源から問い直す

第1章 市民の要求から誕生した貸すことと贈ることのための共同体(GLS)
1 シュタイナー学校の設立運動
2 GLS信託財団の誕生
3 レックスロートによる巨額の寄付
4 GLS銀行の誕生

第2章 お金についての新しい考え方
1 お金の厄介な特徴
2 お金の3つの性質――交換、融資、贈与
3 老化するお金と分かち合い
4 信用創造の拡大か抑制
5 利子と自由
6 倫理か利己心か
7 銀行(金融機関)の役割

第3章 「地球を世話する」農業への支援
1 相続と土地投機に揺れた農場
2 信頼に基づく信用保証
3 公益事業体としての農業学校の設立
4 農業共同体の形成
5 農業ファンドによる支援
6 種子基金による支援
7 輝きを増す農場

第4章 「電力の反乱者」への支援
1 電力供給に対する考え方
2 GLSグループによる支援を選んだシェーナウ市民
3 ファンド・シェーナウによる資金集め
4 「私は厄介者です。」キャンペーン
5 買い取りの成功と新エネルギー財団の設立

第5章 GLSグループの独特な運営方法
1 拡大するGLSグループ
2 GLS信託財団による贈与
3 公益信用保証協同組合による信用保証・出資
4 GLS銀行による融資
5 預金者による利子の放棄と費用補填
6 個人が融資先を選択するダイレクトクレジット(直接融資)
7 特徴をよく表す保証付き融資と融資・贈与共同体
8 借り手同士の連帯を重視した調整・保障基金
9 GLSグループの今後

第6章 日本におけるお金との新しい付き合い方
1 社会的金融の始まり
2 社会的事業への出資と寄付――ミュージックセキュリティーズ
3 お金との付き合い方を考えるゆずり葉
4 みらいファンド沖縄の先駆的な活動
5 基地移設反対運動を支える辺野古基金

エピローグ 社会的金融機関の可能性
あとがき


<著者プロフィール>

林 公則(はやし・きみのり)
1979年生まれ。2007年10月、一橋大学大学院博士課程(経済学研究科応用経済専攻)修了。
現在、一橋大学大学院経済学研究科特任講師(自然資源経済論プロジェクト)。特定非営利活動法人化学兵器被害者支援日中未来平和基金理事。准認定ファンドレイザー。専門は環境経済学と環境政策論。主著に『沖縄論』(共著、岩波書店、2010年)、『軍事環境問題の政治経済学』(日本経済評論社、2011年、経済理論学会奨励賞、環境経済・政策学会奨励賞、平和研究奨励賞)、主論文に「定常経済における社会的金融機関の役割―贈与の役割について―」(幸せ経済社会研究所、2015年、定常経済懸賞論文優秀論文)など。


<書評>
 環境やガバナンスに配慮する企業の株に投資をするESG投資。(中略)その代表例である独GLSグループの取り組みや設立の経緯を紹介したのが、経済学者の林公則氏が執筆した「新・贈与論」だ。(中略)/日本では自分の預金がどのような企業の融資に使われるのかを気にする個人は少数派だが、寄付型のクラウドファンディングなど経済的なリターンを重視しない資金の投じ方を好む層を出始めている。こうした流れに関心のある読者にとって、本書は一読の価値がありそうだ。
『日経ヴェリタス』2017年9月17日号

 本書は、ドイツの社会的金融機関として知られるGLS(貸すことと贈ることのための共同体)グループの紹介を通して、「お金」のあり方を問い、「贈与」という行為に新たな光を当てることを試みた意欲的な著作である。→全文はこちら
『一般社団法人環境金融研究機構』2017年09月26日

 本書は、政府でもなく、既存の社会運動でもない、新しい組織による新しい手法での問題の解決を我々に知らせてくれる良書である。そして、一万円札は日本中どこにおいても額面通りの一万円札であり、無味乾燥とした単なる紙であるが、このお札に色をつける手法を具体的に論じているのが本書である。豊富な事例は研究者から実務家・運動家まで幅広く興味がそそられるはずである。(中略)本書は、GLS(ドイツの銀行)を正面から扱いながらも、他国への適用可能性随所に忍ばせる仕掛けを張り巡らしており、おそらく予定読者もそれらに引き込まれることになるであろう。 というのも、依然として解決されない問題への苛立ち・不安は蓄積されつつあり、政府あるいは既存組織の運動に代わってより効果的・効率的に自らが抱く価値の実現に接近することが期待されているからであろう。(中略)『新・贈与論』は、いまだ理論的・思想的には発展したとはいいがたいこの分野について、ドイツのGLSを中心に日本のいくつかの事例を包括的に述べており、この領域における新しいスターターとして期待される。
評者 長谷川勉(日本大学商学部教授)
『図書新聞』第3340号 2018年2月24日・土

 (前略)筆者は内山節の『怯えの時代』(新潮社)を引用して、お金を出す側・使う側双方に関係性の見えない「冷たいお金」ではなく、分かち合いの関係を築き、贈与することで満たされる「温かいお金」が今こそ必要だと述べる。 人間と環境に配慮した林産物、あるいはそれを清算する地域に「温かいお金」を還流させることについて考えさせられた。金融機関預貯金の一部を社会・森林のための贈与に代えたくなったし、第6章にある沖縄の高江ヘリパッドに代表されるように、沖縄の軍事環境問題に関連する森林破壊に対し自分はあまりに無関心だったと強く考えさせられた。読後に「何かしなくては」と行動を起こさせる本である。
『森林科学』18年2月号


「出版ニュース」(2017年11月中旬号)、「ふぇみん」(2017年10月25日号)、「日経ヴェリタス」(2017年9月17日号)、「環境金融研究機構」のHP(2017年9月)などで紹介されました。

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