コモンズは、環境・アジア・農・食・自治などをテーマに暮らしを見直す、わかりやすく質の高いメッセージを伝える新しい出版社です。
 
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より道のコーナー
*No.19(2004年9月1日発行)

□ ■子どもの側に立つ■□

 
よく「教育書は売れない」と言われます。ある大手取次などは内容もロクに見ず、機械的に「配本は250部ですね」などという始末。でも、子どもをめぐる問題がひんぱんに起きるいまだからこそ、子どもがいきいき育つための考え方や実践を描いた本を積極的に出していきたいと思います。そこで9月の新刊は、『子どもとゆく』(山田太一・斎藤次郎ほか、本体1700円)と、『感じる食育 楽しい食育』(サカイ優佳子ほか、本体1400円)。
 前者は、知る人ぞ知る豚の表紙のミニコミ誌『子どもとゆく』の特集インタビューからよりすぐって集めたものです。暮らしの具体的な経験のなかから、どう生きていけばいいのか、さまざまな圧力とどう対処していけばいいのか、含蓄ある言葉で語られています。
 後者は、いま流行の食育についての具体的かつ本質的な本です。著者たちは食の探偵団を主宰し、五感を駆使した多様なクイズや調理で社会教育に携わってきました。本書は役に立つ楽しいプログラムを紹介するほか、給食や教科との連動、農や環境や世界とのつながりなど、平易な表現ですが、深い内容です。
 5月刊行の『生きる力を育てる修学旅行』(本体1900円)、『いのちって何だろう』(本体1700円)と併せてご一読下さい。

□ ■ぼくが『ぼくがイラクへ行った理由』を出した理由■□
 4月にイラクで起きた「人質」事件は日本中の関心を集めましたが、なんといってもぼくが頭にきたのは、社会の反応です。あたかも、彼ら3人が悪いことをしたかのような非難の大合唱。とくに、毎度のことながら『週刊新潮』『週刊文春』は心底、不愉快です。
 こうした流れに一矢を報いようと、彼らの真の思いを伝えたいと考えたぼくは、連休明けに、その一人・今井紀明君に札幌の友人を通じてアプローチ。幸い心よく応じていただき、それから2カ月足らずで、7月中旬に発刊できました。
 今井君は19歳になったばかりの若者ですが、とてもしっかりしています。決して思いつきでイラクへ言ったわけではありません。高校時代から劣化ウラン弾問題など市民活動を行い、雑誌に文章も発表してきました。『ぼくがイラクへ行った理由』には、「人質」になっていた8日間に何が起きていたのかをはじめ、これまでの活動や同世代へのメッセージが情熱をこめて描かれています。
 ぼくは若い人たちに読んでほしいと思い、本体1300円と安くしました。発売前に全国の書店にFAXを流すと、びっくりするほどの反響。後から後から注文が入りました。初版9000部と小社にとっては最高の部数で、売れ行きも順調です。

□ ■ぼくが『日本軍に棄てられた少女たち』を出した理由■□
2年前に新聞で偶然、インドネシアの著名な作家プラムディヤが、日本軍の従軍慰安婦とされた少女たちのその後を描いた作品を発表したという記事を読みました。その瞬間、ぼくは翻訳出版しようと決めたのです。暗いテーマ、アジアの作家と,売れない要素ばかりですが、日本の出版人として出す義務があると思いました。
 早速いつもお世話になっている村井吉敬さんに相談。訳者の山田道隆さんを紹介していただき、とても読みやすい訳で発刊できました(初版1000部、本体2800円)。内海愛子さんの解説も、とても力作です。


 ((読者カードから))
『みみず物語』
 小泉英政さんの考え方・生き方に、とても共感を覚えました。その前向きな姿勢、エネルギーに感銘を受けます。三里塚闘争についても、遠くから関心をもって見つめてきました。私もどこかに小さな畑を借りて、土にふれながら生きる生活をめざしたいと思っています。(女性)

『徹底解剖100円ショップ』
 今では自分たちの生活にとても身近な100円ショップの裏側を知ることができて、とても良かった。安いゆえに大量廃棄につながるという、環境の面が私は一番気になっている。なんとなく100円だからという思いがあってつい使い捨て感覚で利用してしまうことを反省している。私たちは、いまゼミでこの本を利用して勉強しています。(20歳・女性)

『ぼくがイラクへ行った理由』
 私はこのニュースが「自作自演」「自己責任」とまるで3人を道を外れた人のようにマスコミが報道するたびに、おかしいと思っていました。政府に反対する人をバッシングする変な愛国心を気持ち悪いと思っていました。今井さんたちがリスクを覚悟でイラクへ行ったこと、見上げた根性です。日本政府は何してる(怒)!(58歳・女性)

*No.18(2004年1月1日発行)
 □ ■15年ぶりの作品■□
 コモンズがまだ自社の本創りだけで食べられなかった98年、『有機農業ハンドブック』の編集・制作の仕事をいただきました。そのとき、「循環農場大童」という文章を書いていただいたのが、三里塚で有機農業を営む小泉英政さんです。『百姓物語』(89年)でそのファンになっていたぼくは、いつかエッセイを出版したいと強く思っていました。その願いは友人の花崎晶さんをとおしてかない、2月に新刊『みみず物語循環農場への道のり』(予価1700円)がついに出ます。
 無農薬で飼料作物を栽培し、自家製のエサだけでニワトリを飼い、その鶏糞を発酵させて野菜を育てる。ビニールもマルチも外部の資源は一切、投入しない。みみずはニワトリの餌になり、その糞は土を育てる。こうしたホンモノの循環農業に精を出し、自然をからだで感じる日々を、農作業の合間に詩情豊かに綴りました。
 落ち葉はき、谷津田の風景、百姓百品「万次郎」カボチャ、種採りじいさん、五穀にかこまれて、ライ麦畑の風、雨のにおい、未踏園…。それぞれのタイトルから、農の風景が浮かんできそうです。小泉さんはこう書いています。
 「わが家の畑からぼくが目標とする渓流のような野菜が生まれつつある」

 □ ■右肩上がりです■□
 9月=196冊、10月=239冊、11月=358冊。
 『食農同源』(8月25日見本、足立恭一郎著、2200円)の取次経由の注文部数です。一方、返品は月を追って減っています。いまの出版界では、あまりない現象でしょう。それも上製288ページの固い本なのですから。
 これは長年にわたって有機農業の調査・研究を行い、関係者からの信頼が厚い足立さんの、58歳にして初の単著です。著者もぼくも、本当に力を入れて創ってきました。たくさんの書評で取り上げられ、それが注文にも反映したのです。おそらく増刷もできるでしょう。

 □ ■コドモたちの世界を描く■□
 「コモンズからコドモの世界を探求する本を出したいです」見ず知らずの今野稔久さんから熱い手紙をいただいて2年半。何度ものコメントと書き直しを経て、『コドモの居場所』(1400円)は完成しました。3人の子どもを育てながら、養護学校の教員として体の不自由な生徒たちと精一杯かかわるなかで見えてきたことが、たくさんのエピソードとともに語られています。無名の著者の本を長い時間かけて創る。およそ非効率的な仕事ですが、毛利子来さんに「親と教師の目からウロコを落としてくれる本だ」と評していただき、感激しました。

 □ ■流対協に入りました■□
 7月に、以前から誘われていた、中小・零細出版社で構成する出版流通対策協議会(会長は現代書館・菊地泰博氏)へ加盟しました。これまで入ってこなかったのは、本業とNGOのお手伝いでともかく忙しく、活動をする余裕がなかったからです。その状況が変わったわけではありませんが、出版業界のさまざまな情報を知る必要性を感じて、加わることにしました。
 FAXによる書店への一斉チラシの配布、取次会社との交流など、早速に役立っています。差別的な取引条件の改善にもつなげていきたいと考えているのは、もちろんです。
☆流体協ブログはこちら

 ((読者カードから))
『肌がキレイになる化粧品選び』
 アトピー肌で、敏感肌のため困っていた私には、とても参考になる話があり、読んで良かったと思いました。(39歳・女性)
 消費者の知る権利が、現状では有効にいかされていないように思う。社会や企業に対しもっと情報の公開をのぞみたいと思った。いろいろな面でとても勉強になった。(35歳・女性)

『パンを耕した男』
 2日間で読んでしまいました。自家製酵母でパン作りしてますが、ヘルシーにいろいろ工夫を楽しんでいます。大橋さんは全てお仕事に手広くしてらっしゃるので感心してます。葉祥明さんの絵が大好きでこの表紙が気に入ってます。(69歳・女性)
丹念な取材と、ダイナミックな構成で銀嶺さんと大橋雄二氏(並びにそのご一家)をあたたかい第三者の目からあきらかな主張をもってうかび上がらせていると思いました。(76歳・女性)

『食農同源』
 知らないことがたくさん書かれており、大変刺激を受けました。姉妹書が近々出されるとのこと。是非手にしたいと思います。農水の方の本ときき、びっくりしながら読みました。(49歳・女性)


*No.17(2003年4月10日発行)
□ ■ブッシュは許せない■□
 ニュースで、イラクの子どもたちやふつうの人びとが爆撃を受け、傷つく様子を見るのは、いたたまれません。
 なぜ、アメリカ合州国の、アホでマヌケで単細胞なキリスト教右翼だけが、他国に暴力的に介入することが、許されるのでしょうか。カウボーイ気取りであの男がやっていることは、殺人なのです。この蛮行がもし非難されないのであれば、同じように、「気に入らないから」「資源と利権がほしいから」という理由でブッシュを殺そうとする権利だって、認められてしかるべきでしょう。
 もうひとつ、あまりにひどいのは、小泉と政府与党です。なんら主体性なく、ただブッシュの濡れ落ち葉のように、どこまでもついていくだけ。野中広務や河野太郎がもう少し気骨を示すかと思いましたが、期待はずれでした。本当に「アホでマヌケ」なのは、いまの政権を支えている日本人のようです。アメリカ合州国製品の不買運動もいいけれど、いちばん必要なのは、政府与党の不買運動、すなわち日々の行動と投票での意思表示です。3月21日のピースウオークでは、ぼくも多くの参加者とともに歩きました。イラクまで行っての非暴力行動はできませんが、せめてこうした活動を続けるとともに、殺人を許す決定に荷担した連中を落とそうぜ!

□ ■小さいことはいいことだ■□
 最近、新聞紙上を賑わせているひとつが合併です。政府・自民党は、05年3月末までを期限にアメとムチを駆使して、市町村合併を進めています。『これでいいのか平成の大合併●理念なき再編を問う』(小原隆治編著、1700円)は、真っ向からこれを批判した本です。
 自治研究者と現場に精通したジャーナリストの協働で、各地で行われている強制合併の実状、住民たちの反乱、自律と自立を模索するさまざまな動きを紹介。地域の事情を考えずに、政治家や省庁の利害ばかりが前面に出ている実態を、地に足をつけて描きました。

□ ■電磁波って危ないよ■□
 人びとの健康を守る国際機関WHOの事務局長は、電磁波過敏症だそうです。『危険な電磁波から身を守る本』(植田武智、予価1400円)には彼女の言葉が紹介されています。「携帯電話の危険性を警告する根拠はあると思います。とくに若い人たちほど深刻に考えたほうがいい。予防原則に従う必要があります」
 目に見えない電磁波は、携帯だけではなく、家電製品、電車、クルマなど身近な多くのものから出ています。危険性を少しでも避けるためにはどうしたらいいのか。自ら行った実験と外国の多くのデータから、具体的に身の守り方を説明しています。

□ ■身土不二にこだわる■□
 「国産小麦ではおいしいパンはできない」というのがパン業界の常識でした。『パンを耕した男甦れ穀物の精』(渥美京子、予価1700円)は、それを打破した銀嶺食品社長・大橋雄二の食と農に懸けた熱い思いを描くノンフィクションです。血友病をかかえながら、日本の食文化に合ったパン作りと地域の農業の復権をめざして縦横無尽に活躍する大橋の姿に共感した著者が、長年かけて取材しました。米・雑穀・大豆と次々に新しい原料に挑戦し、おいしさと安全性を優先させながら、結果的に販路も拡大。胸が打たれる作品に仕上がっています。

((読者カードから))
『有機農業が国を変えた』
 地球の枠内での自然循環型社会という、これしかない、真に未来型をさし示す大変すばらしいキューバの紹介。やればできる実証を見て、大いに勇気と自信をもつことができた感銘を与える本書でした。老子の「小国寡民」の理想社会がここにあるようでした。キューバの隣国に、軍隊の無い国コスタリカが又別の理想国としてありますが、そういう国についても実態報告の本があったら良いです。(48歳・男性)
 私はこの本を読んで、一九八〇年頃在日キューバ大使館に福岡正信の『ワラ一本の革命』という本を届けた人のことを想い出しました。もしかしたらその本が…という想像は楽しいものがあります。(53歳、女性)

『開発援助か社会運動か』
 定松さんの開発についての取り組み、考え方にとても興味を持って読むことができました。同時に考えさせられました。(39歳、女性)

『自然の恵みのやさしいおやつ』
 残りごはんを使っての「エビセン」、美味しかったです! 知らず知らずのうち、日常の食生活の中で砂糖を口にしていると思うので、お菓子で極力摂らないようにしています。大豆を使ってのお菓子のレシピがあればうれしかったです。コラムは大変役立ちました!(34歳、女性)


*No.16(2002年11月1日発行)
□ ■NGOに問われていること■□
 最近は「草の根無償資金」や「開発福祉支援事業」など、NGOの現地活動を対象とする日本のODAが増えてきました。ぼくはNGOが政府資金を受け取ることを頭から否定はしませんが、NGOが活動を自己規制するようになったら大きな問題です。開発協力NGOの場合、活動している国の政治的な問題には立ち入らないという暗黙の了解があるようですが、それは本当に正しいのでしょうか?
 11月の新刊『開発援助か社会運動か』(定松栄一著、本体2400円)は、自らの長年の経験をふまえてこうした問題に正面から切り込んだ力作です。著者はシャプラニール=市民による海外協力の会で五年間ネパール駐在員を勤めました。そこで土地を故なく奪われた先住民族による土地獲得運動を支援するか否かに直面します。当時はその運動グループが左派系政党とつながりがあり、NGOはネパール政府から政治的中立を守ることを義務づけられているという理由で、支援を見合わせました。
しかし、それが正しかったのかを著者は真摯に問い返し、自らが主体としてどうかかわっていくべきなのか、本当に必要としている人びとに援助が届いているのかを考察していくのです。サブタイトルの「現場から問い直すNGOの存在意義」をかみしめながら読んでください。

□ ■あなたの飲んでいる水は大丈夫ですか?■□
 以下は五〇歳代以上の人口一〇万人あたりのガンの都道府県別死亡者数の比較です。
 肝臓ガン=最大は大阪府の一一五・七人で、最小の沖縄県の三・四倍
 乳ガン=最大は東京都の三四・七人で、最小の高知県の二・一三倍。
 また、肝臓ガンの死亡者数については、北九州市若松区では二〇四・一人ですが、同市八幡東区では七九・二人。そして、東京二三区で平均より多いのはすべて東部の区です。
 こうした地域差を見ると、なんらかの物質が影響していることが想像されるでしょう。『水とガンの深い関係●都市の水は安全か』(本体1600円)の著者・河野武平氏は、水質の汚染度に着目しました。そして、川や浄水場の違いによって、ガンの死亡率が大きく異なっている事実を示していきます。水田地帯に多い胆のうガン、陰イオン界面活性剤の濃度による乳ガンや、川の上流と下流による肝臓ガンの死亡率の大きな差など、あたかも推理小説を読んでいるかのように、次々と恐るべき事実が述べられていきます。
 ただし、決して恐怖をあおることが目的ではありません。水質をよくするためにはどうしたらよいのか、私たちがガンをどう予防していけばよいのかが、きちんと書かれている本です。

□ ■政策研究賞を受賞■□
 『森の列島に暮らす』(内山節編著、本体1700円、01年発行)が10月に「第3回NIRA大来政策研究賞」の〈地域における政策研究〉部門を受賞しました。NIRA(総合研究開発機構)は内閣府所管の認可法人で、「大来」とは元外務大臣・大来佐武郎氏のことです。選考者評を引用しておきます。
 「人間と森林が相互に関連しつつ発展する道を探らなければならないとする柔軟かつ現実的な観点から、市場経済と共存可能な森林政策を模索しており、その政策提言には多くの説得的で傾聴すべき論点が含まれている」

((読者カードから))
『食卓に毒菜がやってきた』
 最近問題が表面化した中国野菜の問題。タイムリーで取材もよくなされていてとても良い。(43歳・男性)
 真実を知ることが出来、有難いです。もっと健康と環境、食についての事実を学び、地域の仲間(高齢農業者)を通じ後世に伝えたいです。(77歳・男性)

『自然の恵みのやさしいおやつ』
 一読し、作るのがとても簡単で感激しました。「エビせん」や、寒天を使ったおやつ「昔ながらのやさしいおやつ」も、どれも簡単にできるものばかりで、驚くばかりでした(こんなのも作れるなんて…!と)。イラストもかわいらしく、またレシピのイラストによる説明もわかりやすくてよかったです。コラムも勉強になりました。(34歳・女性)

『安ければ、それでいいのか!?』
 とても勉強になりました。農家と手を組んで日本の農業を守ることの大切さを痛感。さし当たって千葉で大豆トラストに参加します。(66歳・女性)

『あなたを守る子宮内膜症の本』
 病気の知識が広がり、医師も気をつけて選ばないと大変なことになると実感した。自分自身の体は自分で守らなければならない、知らないではすまされないと思った。漢方の生薬についての詳しい説明がほしい。(女性)


*No.15(2002年5月1日発行)
□ ■外務省改革というけれど■□
 軍人に頭をパカッと割られて脳に何かを書き込まれている無抵抗の人、札束の頂上でスハルト元大統領が「どうやって降りるのだろう」と言っている……これらの絵を描いたイラストレーターは、国外追放を受けたこともあるそうです。『軍がしきるインドネシア』(S・ティウォン著、予価2500円)は、ウィットに富んだイラストと文で、インドネシア軍の実態を暴きます。物理的な暴力だけでなく、軍がビジネスも政治も利権を一手に握り、「国民」教育をおこない、報道規制をするということにこそ軍事国家の暴力の実態があるのです。
 その国を、日本はほかのどの国よりも支え続けています。ODAの改革と言われますが、問題の根本にあるのは、日本の国益のためなら人権侵害をする軍事国家支援もいとわない、環境破壊や地域住民の生きる権利を奪ってもしかたないという考え方ではないでしょうか。ODAによって、それまであった質素だが豊かな生活や、伝統的に築かれてきた相互扶助の社会システム・人間関係も破壊されてしまうのです。
 『ODAをどう変えればいいのか』(藤林泰・長瀬理英編著、2000円)は、現場を歩いてきた市民研究者たちによる報告をもとに、市民の責任と役割を考えます。(出)

□ ■自動車依存症から脱け出すために■□
 日本には約9000万台のクルマ・バイクがあります。不況とは無関係に、走行距離も伸び続けています。その環境や社会に及ぼすマイナスの影響はきわめて大きいにもかかわらず、具体的な数字は算出されてきませんでした。新刊『自動車にいくらかかっているか』(上岡直見著、1900円)は、温暖化・大気汚染・騒音・事故などの社会的費用はどの程度かを詳細に述べています。あわせて、路面電車や鉄道・バスという公共交通の社会的価値や国内外の環境に配慮した交通政策も詳しく紹介し、自動車依存社会からの転換の道筋を明らかにしています。

□ ■肉はこう食べよう 畜産をこう変えよう■□
 BSE(いわゆる「狂牛病」)の発生は、草食動物である牛が肉骨粉を食べさせられている事実を明るみに出しました。病気は、近代大規模畜産の必然的結果です。ところが、農水省が4月初めに出した調査検討委員会の報告は、その根本的な問題への反省があまりに稀薄で、唖然としました。「今後の食品安全行政のあり方について」という章には、草をはじめとする地域資源を利用した飼料自給型の有機畜産への方向性がまったく書かれていません。
 『肉はこう食べよう 畜産をこう変えよう』(1700円)は、他の「狂牛病」関連書とは異なり、今後の日本の酪農・肉牛産業がどう変わればよいかを、明確に述べています。長く有機農業を行ってきた生産者や、全国の畜産現場を歩いてきたジャーナリストの提言だけに、説得力があるはず。私たちが食べ方を変えれば、飼料自給型の有機畜産は十分に可能なのです。
 なお、調査検討委員会では、リスク評価を行う新しい行政機関の設置を打ち出しました。それ自体は評価できますが、決して農水省の傘下にはおかず、独立した組織として、族議員や業界団体の影響力を排除する必要があります。さらに、イギリスやドイツのように、いわば環境・食料・農業省の設置を考えていくべきでしょう。(大)

((読者カードから))
『天国のお友だち』
内容は大変よく、とても衝撃的で感動しました。そして、私もがんばって小児科医になろうと、今、心にちかいました。(16歳・女性)

『安ければ、それでいいのか!?』
私の住む片田舎のスーパーにも外国(主として中国)産の農作物が安く販売されています。他方で町の産直も大いに賑わっています。この日頃から感じていた矛盾に、グローバルな切口で答えてくれたのが、この本です。安ければそれでいいっていうものではない。命は値段ではないのですから。(58歳・男性)
日々の仕事の中で日本の農家の明日を考えることがあるのですが、まったくその姿が見えてきません。日本は、日本人はどこへ行こうとしているのでしょうか?(46歳・男性)

『自然の恵みのやさしいおやつ』
一月に出産したばかり。日頃より食の安全性について考えていましたが、子供には安全なものを与えたいと思ってこの本を購入。レシピもかんたんでおいしく出来、子供をもつ友人たちにもプレゼントしたいと思います。(36歳・女性)
わかりやすい説明、手軽に手に入る材料で、子どもでもすぐ作ってみたくなるレシピばかりでした。和のおやつが多いのが良いです。(47歳・女性)


*No.14(2001年11月1日発行)
□ ■食と農へのこだわり■□
 かつてマクドナルドのハンバーガーは210円でした。それが、いまや65円。以前よほど儲けていたか、いまよほど危ない食材を使っていると思うのが普通では? 400円から280円に一気に下がった吉野屋の牛丼も、似たようなものです。
 新刊『安ければ、それでいいのか!?』(山下惣一編著、1500円)は、輸入野菜や魚を含めて、気鋭のジャーナリストたちが、安さの裏側に鋭く迫りました。いわば、ベストセラー『ファストフードが世界を食いつくす』の日本版です。狂牛病の恐怖が広がるいま、私たちは何を食べさせられているのか、真剣に考える必要があるでしょう。
 『自然の恵みのやさしいおやつ』(河津由美子、1350円)は、子どもに安心して食べさせられる、手軽なおやつのレシピ集です。楽しいイラストとともに、作り方をていねいに紹介しました。砂糖をなるべく減らし、
アトピーの子ども向けのバターや牛乳を使わないお菓子など、健康に配慮した内容です。
 さらに、誕生したばかりの日本有機農業学会の学会誌『どうなる有機農業21世紀の課題と可能性』(2500円)と、食と農を考える新刊が目白押しです。ロングセラー『健康な住まいを手に入れる本』に最新情報を収録した3訂版(2200円)も、お忘れなく。

□ ■立花隆氏は選考委員を辞任せよ■□
 第23回講談社ノンフィクション賞の選考過程について重大な疑問があります。ぼくは10月5日発売の『月刊現代』11月号誌上で、選評を読みました。そこに掲載されている氏の文章に著しく公平性を欠く内容があり、許されないことと思います。  立花隆氏は、授賞作に対して選考委員の一人から「これでもノンフィクションですか?」という異がとなえられたことを紹介したうえで、「担当編集者から、一見想像力で筆を走らせたように見える部分ですら、実は周到な裏づけがあるという説明が具体的になされ」(266ページ)と書いています。
 一方コモンズは、『いつかロロサエの森で』が候補作品としてノミネートされていました。選者のひとり黒井千次氏は同書を評価しつつ、疑問も呈しています。それに対して、小社の編集者には、なんらの問合せはありませんでした。それが、当然のルールでしょう。
 立花氏は、自分が推す作品、ないし講談社の作品を授賞させるために、選考の場で不公正なことを行ったのです。それは、伝統と権威ある講談社ノンフィクション賞を汚すものにほかならないと考えます。
 公平性を欠いた選考を行った責任をとって、氏は講談社ノンフィクション賞の選者を辞任するべきです。(大)

□ ■患者は治療だけでは 救われない■□
 好評の前作『小さないのちとの約束』を書いた坂下ひろこさんが、当初から構想にあった二作目『天国のお友だち●親と子どもと小児医療』(1500円(予))を出します。インフルエンザ脳症で亡くなった子どもたちとその家族を、天国のあゆみちゃんが語り手となって紹介。延命治療、医療裁判、離婚、里子など、どんな医療を受けたかで、親のその後の生き方が変わります。また、医療関係者や行政への取材をもとに、親がどのように小児医療にかかわればいいのかを著者がともに考えます。医療に従事する方にもお薦めします。(出)

((読者カードから))
都会の百姓です。よろしく
 著者の生き方、考え方がよく書かれていて、とても良かったです。農業というテーマを楽しんで守っていこうとする姿勢に共感しました。(45歳・男性)
 大変感動しました。白石さんの農業に対する思いが伝わってくる本です。消費者に対する思い、百姓が好きだということ、後継者に伝えたい。(48歳・男性)

有機農業の思想と技術
 これからはこの有機農業でないと消費者は購入・消費してくれなくなるだろう。農家がこの有機農業に取り組むためには、確かな哲学と思想をもってあたらなければならない。そのことを示してくれたのが本書である。(69歳・男性)
 有機農業の基礎理念が作者の体験上から語られており、非常に感銘を受けました。残念ですがもっと長く生きてご指導していただければと思いました。大変良い本です。(57歳・男性)

小さないのちとの約束
 読みながら、一児の母として涙が止まりませんでした。私の近所でも、小児医療は貧しいものです。入院できるのは市民病院のみで、しかも「夜間や土日祭日は医者も薬剤師もいません」「昼間ちゃんと医院に行って夜間は来ることがないようにしてください」などと広報する始末です。(37歳・女性)

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