『これでいいのか平成の大合併
 −理念なき再編を問う』

小原隆治編著
2003年/四六判/216ページ/1700円+税
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小原隆治…1959年生まれ。早稲田大学大学院修了。成蹊大学教授。朝日新聞紙上の「論戦 平成の大合併(「eデモクラシー」)で合併に批判的な立場で論陣を張り、大いに注目される


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◎この本は…
 
朝日新聞に、6人の政治家や有識者が読者の投稿に答える「朝日e−デモクラシー」という欄がある。たいていテーマごとに賛否同数が登場し、論戦を繰り広げる。ところが、昨年末から今年に取り上げられた「平成の大合併」では、なんと賛成派5対反対派1という異例の構図だった。おそらく、国家の意思としてこの強制合併が進んでいることを体現した人選なのだろう。投稿者には反対派のほうがむしろ多かったようだし、実におかしな話だ。本書の編者は、そのときに唯一の反対派として奮闘した、気鋭の自治・行政学者である。
 本書を読むと、自民党の国会議員が自らの地域での権力を強化するためや、政府が合理的な戦略もロクにもたないままに、アメとムチでこの拙速な合併を進めている事実がよく見えてくる。しかも、人口1万人以下の小規模町村を事実上なくしてしまおうとする暴論まで飛び出してきた。これに対して学界の重鎮は、本書で「基本的に許せない」と厳しく批判する。同時に本書で紹介している、各地で困難な条件のもとで実践してきた知恵をこらした地域づくりや、圧力に負けずに拙速な合併に反対する住民たちの姿は、自立した道を歩むことの大切さを生き生きと物語っている。


◎書評
「克雪」や「下駄履きヘルパー」など独自の行政をどう守るか模索する長野県栄村、住民サービス低下に不満が募る合併積極県、兵庫。住民投票で合併を拒否した上尾市など各地のルポを交え、研究者、ジャーナリストが自治体の合併強制を現場から批判。政府が論拠とする「西尾私案」にメスを入れ「合併より税源移譲」「国と自治体は対等協力」と提言します。(『赤旗』03年5月12日)
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 期限付きの合併特例法というアメと、税源委譲など内容不透明な地方自治体「自律」時代への不安感というムチによって、なし崩しに各地で自治体の合併が進んでいる。
 広域化と住民に身近な自治・行政は、明らかに矛盾する。政府・自民党はなぜこれを推進するのか? また、合併積極県・兵庫の問題点、逆に田中知事が独自のスタンスをとる長野県など、各地の事例を報告しつつ、「平成の大合併」の問題点を検証している。(『週刊現代』03年5月31日号)
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※そのほか、『毎日新聞』(03年5月15日夕刊)、『自治日報』(03年5月16日)、『週刊文春』(03年6月5日)、『日刊ゲンダイ』(03年5月30日)、『自治研』(03年6月号)、『出版ニュース』(03年6月/下)、『信州自治研』(03年5月号)、『ガバナンス』(03年6月)、『経済界』(03年7/22号)、『月刊丸の内』(03年9月号)、『ACT』(03年5月26日、194号)、『月刊民主』(04年9月17日)でも紹介されました。

<目次>

第1章 これでいいのか平成の大合併   小原隆治(成蹊大学)

第2章 いま地域は大揺れ
1 「自律」をもとめて・長野県   木村健二(毎日新聞)・西田進一郎(毎日新聞)
2 合併積極県に見る合併の落とし穴・兵庫県    松本誠(神戸新聞)
3 住民の反乱・砥部町、熊毛町、上尾市   瀧井宏臣(ルポライター)

第3章 町村が消える?
1 「西尾私案」はどこがモンだいなのか   島田恵司(地方自治総合研究所)
2 小規模町村こそ自治の担い手 佐藤竺(成蹊大学)、北良治(奈井江町長)、前田穣(綾町長)

第4章 合併を越える自治制度の構想へ   小原隆治