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◎書評 自動車ユーザーの税負担は大きいが、それでも環境悪化対策などの「社会的費用」から見ればごく一部。費用の大半は、他者に転嫁している−。ショッキングだが、事実なので説得力がある。都市の公共交通を無料にし、マイカーから電車やバスに乗り換えれば渋滞は解消され、過剰な道路建設も不要、十分にペイすると説く。 (『西日本新聞』2002年6月2日)
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自動車一台当たりの費用は、交通事故や騒音などの社会的費用を考慮すれば一二〇〇万円にも達する。一九七四年の著書で、宇沢弘文氏がこう指摘したことがある。それから四半世紀以上が過ぎた。実際にはどうか。地球温暖化をはじめ、社会状況が大きく変わったし、社会的費用の質も当時とは変わっている。 そこで、温暖化・大気汚染・交通事故・騒音・渋滞等々、現時点での社会的費用を可能な限り総括的かつ詳細に算出し、この社会がどのような交通体系を目指すべきかを問いかける。自動車社会をただ告発するというのではない。公共交通を含むどのような交通体系を構想すべきか。まずは社会的費用の詳細な数値データを知ることから始めよう、というのである。(『毎日新聞』02年7月7日)
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この本はボーナスで新車購入を考える人に再考を促す本だ。内容は家計のやりくりについてではない。社会全体で見たときの車の"費用"を経済学的に算出しようと試みるものだ。 かつてモータリゼーションの発達は、時代の変化と発展の輝かしい象徴だった。しかし、増大する交通事故、騒音や大気汚染による健康被害、温暖化による気候変動などが深刻化するに従い、地球共存時代への負の側面が指摘されるようになった。本書は、我々が車を使うことで社会全体でどれだけの損害が生じているのか、ひと一人の命と時間を金額に置き換え、それを目安に具体的な損害額の算出を試みている。 例えば、路上駐車を例にとると次のようになる。1台あたり1.6人が乗車するとして、1時間に750台の車が通る道に車1台が路上駐車すると、1時間あたり400台、すなわち640人の道路の利用機会が奪われる。日本人1人の平均時間価値を39.3円とすると、1時間あたり150万9千円の損害が生じていることとなる(94-95頁より)。 著者いわく「つまり、一分あたり二万五一五〇円の罰金を徴収してもよいのである」(95頁より)。 経済学の世界では「たかが"駐禁"」といえどもあなどれないのだ。 ともあれ、すべて金額で示されているから、環境への影響など空をつかむような話も現実味を帯びてくる。経済理論の難しい話はなく、現実の問題と解決策を時に海外の実例も交えて述べているからとっつきやすい。最後に解決策として、車にかわる公共交通の利用を促進させるための政策を提示している。渋滞や駐車場不足、高速料金の高さにご立腹の貴方、本書をお薦めします。
(2002/7
e-JAFMATE編集部
ST) (JAFMATE社ホームページ「ヨムヨム・ブックガイド」より転載。 http://www.jafmate.co.jp/)
※そのほか、『エコノミスト』(02年6月18日号)、『出版ニュース』(02年6月号)、『週刊金曜日』(02年7月5日)などで紹介。 bk1にも掲載されています。
<目次>
はしがき
第一章 自動車と環境への影響
1 自動車依存の拡大
2 地球温暖化をまねく自動車
3 現実に迫る気候変動
4 都市の熱帯化
5 土地利用と自動車
第二章 社会的費用と自動車
1 社会的費用の歴史と可能性
2 社会的費用の難点と制約
3 宇沢弘文氏の『自動車の社会的費用』
4 社会的費用の現代的意義
5 自動車の代替と社会的共通資本
第三章 自動車は「いくら」か
1 多岐にわたる社会的費用の項目
2 温暖化の社会的費用
3 健康被害や生活妨害の社会的費用
4 道路や渋滞に関する社会的費用
5 二輪車による汚染は乗用車以上
6 さまざまな社会的費用の試算
7 自動車の社会的費用とユーザーの負担
第四章 公共交通の社会的価値
1 道路面は都市交通の「宝の山」
2 経済学的にはバスの無料化が正しい
3 ローカル線は交通政策の試金石
4 鉄道貨物の貢献度
5 「赤字」の迷信を捨てよう
第五章 自動車社会をこう変える
1 方向転換のシナリオ
2 転換の仕組み
3 経済と雇用の「脱自動車」化
4 広がるエコモビリティ
5 社会的な交通教育の充実
あとがき
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