希望を蒔く人

――アグロエコロジーへの誘い

ピエール・ラビ著、天羽 みどり訳、 勝俣誠 解説
四六判上製/256ページ/本体2300円+税

定価2300円+税

2017年7月


ISBN 978-4-86187-141-2


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環境の未来と食料生産を持続的に保障する哲学・思想として世界的に注目されている
アグロエコロジー(農生態学)の第一人者の語りおろし。
自然と向き合い、耕し、簡素に生き、地球の未来のために社会に働きかける生き方が、
私たちの心に響く。




<目次>

序文 簡素という優雅さ

第1章 種を蒔く人の生涯
 無限の経済成長はあり得ない
 人間とは良くなれる存在
 私のおいたち
 非暴力をつらぬ
 帰農の喜びと苦悩
 アグロエコロジーの発見と成果
 日々の暮らしで考えること

第2章 エコロジーの深い考察
 決してあきらめない
 エコロジーと政治・社会
 アグロエコロジーがアフリカを救う

第3章 現代と向き合う
 報道のあり方を考える
 手仕事を大切にする教育
 政治と選挙

第4章 希望の種を蒔く
 大地の治療者を育てる
 詩と寓話
 希望の種を蒔き続ける

解説 簡素という豊かさ——二つの現代史を生きたラビの思想 勝俣誠



<編者プロフィール>

ピエール・ラビ(ピエール ラビ)

思想家・作家・農民。
1938年アルジェリア生まれのフランス人。
南フランスで有機農業を営むかたわら、思索と哲学を深める。
著書多数。
講演依頼は年間500本以上。そのほとんどで聴衆は1000人を超える。



<書評>
 いのちと生態系を守る農業・社会運動・哲学として世界的に注目されているアグロエコロジー。その第一人者であるラビによれば、お金は生きる喜びと幸せをもたらさない。彼は、地球を破壊する「もっと多く」という成長イデオロギーに対して、理性に基づく「簡素という優雅さ、豊かさ」を対置する。本書は、ラビが信頼する仲間によるインタビューをまとめたもの。その生涯、思想、非暴力の意味、教育や宗教のあり方、現代社会の読み解き方などが、詩情豊かな温かい心と深い考察のもとに述べられている。特に、経済成長なき時代の生き方を模索する若者に読んでほしいとの思いから、平易に意訳されており、読みやすい。
『ガバナンス』(2017年8月号)

 フランスの農民作家で思想家でもある著者は1938年のアルジェリア生まれ。父親から「教育のため」とフランス人の元に養子に出された。59年にパリに渡ったが、世知辛い都会生活に嫌気が差し、2年後に夫妻でフランス南部に渡り、帰農する。日本で広まりつつある都市から農村への移住がフランスでは50年以上前からあったのは驚きだ。/(中略)著者の主張は、経済成長から脱した先にある簡素な生活こそ豊かだということ。理屈をこねるより自ら行動せよとも言っている。驚いたのは2002年に大統領選に推され、短期間に200票近い議員の推薦を得たことだ。出馬に必要な500票に満たなかったようだが、その人気ぶりをうかがい知ることができる。/本書では、インタビュアーからの質問に著者が答える形で進む。政治、経済、教育、報道の在り方などをテーマに二人の掛け合いが全編を貫く。 (中略)/地産地消、手仕事の大切さを説くあたりは東洋的で親しみが湧く。訳者の天羽みどりは、人生の大事な教えを説く著者を21世紀版の「星の王子様」と評するが、私は21世紀版の「宮沢賢治」みたいな人ではないかと感じた。
『日本農業新聞』(2017年9月24日)

 「私たち日本人には耳慣れないかもしれないアグロエコロジーという言葉。いのちと生態系を守る農業・社会運動・哲学として、急速に世界の注目を集めている。その第一人者であるピエール・ラビ氏の語りおろしである。(中略)ラビ氏の言葉は、物質文明につかった私たちに警鐘を鳴らしはするが、決して批判一辺倒ではない。自然と向き合い、耕し、簡素に生き、地球の未来のために働きかける生き方は、時に温かく、時にユーモアを交え、私たちの心に響く。本書は単なる農業や環境問題をテーマにした書籍ではない。「農の営み」から発せられるメッセージには、心豊かに暮らすヒントがつまっている」
『町村週報』(17年9月25日号)

 アグロエコロジー(農生態学)の第一人者であるピエール・ラビさんへのインタビューをまとめた本書を読めば、環境破壊が進み、争いごとが絶えず、政治に希望が持てない世界を憂える人の心にも一縷の希望が芽生えるはずだ。農生態学と聞くと理系の難解な問題かと思うが、実際は生き方の選択肢についての本だ。(中略)社会は、半永久的な経済成長を前提としている。ラビさんはそのような社会のありかたに異議を唱え、オルタナティブを模索する。(中略)優秀なAIが開発されても、わたしたちの知能や意識は身体の持つ物質的な限界から逃れられない。意識が身体を通じて得た刺激への反応である限り、わたしたちの幸せは肉体の居場所である地球のコンディションに左右される。地に足のついたラビさんの考え方はわかり易く、強く共感できるものである。
『讀賣新聞』(17年10月22日号)





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