農と言える日本人

  ――福島発・農業の復興へ

有機農業選書<6>
野中昌法
四六判/184ページ
定価1800円+税
2014年4月

ISBN 978-4-86187-115-3

※第2905回 日本図書館協会選定図書

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3.11以降の約1000日で250回以上も福島を訪れ、
農家に寄り添って復興を支えてきた著者・渾身の書き下ろし!
農家に学び、共に考え、再生への道を切り開く




<目次>


はじめに
第1章 被災地で農家の生の声を聞く
  1 現地調査での決断
海水が流れ込む水田――相馬市●稲の作付けを中止――南相馬市●農業者からの協力要請――二本松市東和地区●農業は再開できそうだ●里山の再生を目指して●までいの里を忘れない

  2 ゆうきの里の有機農業者たち――二本松市東和地区
ぶれず、めげず、しびらっこく、がんばっぺ●頼りになる事務局長●グリーンツーリズムの旗手は注文のきかねえ料理店の店主●農水省から新規就農へ●阿武隈に溶け込んだウチナーンチュ●こだわりのリンゴ農家

  3 地域に有機農業を広げる福島県有機農業ネットワーク
篤農有機農家の想い●田んぼ(tanbo)から飛んだのでトンボ(tonbo)●トンボがリオに飛んだ●原発事故による福島農家の苦悩を世界に発信●農家娘の日々●希望の種を播く●厳しい状況が続く小高区

  4 稲作の再開に向けた調査活動――南相馬市太田地区
農地の空間線量率は下がっているけれど……●実証水田での作付けと厳しい結果

  5 全村避難からの再生――飯舘村大久保第一集落
集落の汚染マップを作成●自立の村づくりをあきらめない

  6 理不尽な現実に立ち向かう後継者

第2章 研究者と農家の協働が生み出す成果
  1 研究者の連携による復興プログラム
私たちの基本的姿勢●調査結果を農家に返す中間報告会

  2 知ることは生きること
有機農業の適地・東和●詳細な汚染マップが何より大切●ウッドチップと落ち葉を利用した里山(森林)の除染●里山からの水に放射性セシウムが含まれている●土壌と玄米などの放射性セシウム含量の関係●放射性セシウム含量は水口が高い●移行係数は想定より低い●増水時に放射性セシウム含量が増える●ゼオライトや塩化カリウムなどの効果はない●耕作によって空間線量率が下がる●大豆の放射性セシウム汚染と低減対策●桑の木の放射性セシウム抑制対策●稲架掛け乾燥は安全●タケノコは先端部分の放射性セシウム含量が高い

  3 上流の放射能汚染が下流の稲作に影響する
  4 情報の公開で風評被害を乗り越える

第3章 足尾と水俣に学ぶ
  1 初めて公害にノーと言った日本人・田中正造
田中正造の言葉●故郷の偉人への想い

  2 農の人の軌跡
自己利益のためには行動しない政治家●農の人として農民に寄り添う●現場で農民に学ぶ谷中学●谷中学から水俣学、そして福島へ

  3 水俣病の教訓
化学肥料と爆薬は同根●水俣病の発生と隠蔽の構造●相次ぐ訴訟●踏みにじられた水俣病特措法●語り部の証言と学生の反応●事実は現場にしかない

第4章 科学者の責任と倫理
現場を重視しない研究者●被害者の側に立たない行政●科学者の倫理的責任●現場で農と言える人たちを育てる

おわりに
参考資料



<著者プロフィール>

野中 昌法(のなか・まさのり)

1953年 栃木県安蘇郡葛生町(現・佐野市)生まれ。
1987年の新潟大学赴任直後から新潟水俣病被害者の支援活動に参加。前年のチェルノブイリ原発事故を受けて放射性物質の農業への影響について講義を始める。また、日本国内に加えて、トルコ、中国、インドネシア、タイなどで現地研究者・農家とともに、有機農業の調査と土壌修復を行う。2011年の東日本大震災と原発事故以降は、いち早くブログで情報と分析を発信。5月から福島県で農業復興調査研究を開始し、継続中。
現 在 新潟大学自然科学系教授。農学博士(東京大学)。日本有機農業学会理事、NPO法人有機農業技術会議理事、新潟水俣環境賞選考委員長、郡山市農業振興アドバイザー。
専 門 有機農業学・土壌環境学。
共 著 『阿賀よ伝えて――103人が語る水俣病』(新潟水俣病40周年記念誌出版委員会、2005年)、『四日市学――未来をひらく環境学へ』(風媒社、2005年)、『放射能に克つ農の営み――ふくしまから希望の復興へ』(コモンズ、2012年)、『福島原発事故の放射能汚染――問題分析と政策提言』(世界思想社、2012年)など。


<書評>
 有機農業学・土壌環境学の研究者が、2011年5月から約300日間、福島県に滞在し、相馬市、南相馬市、二本松市東和地区などの農家の生の声を聞き、協働で放射能汚染の状況を現場調査した。農業の復興と継続、持続的な発展のための提言。
 「東京新聞」(14年5月12日)


 「福島の農業を復興するには、多くの人たちと語り、多くの人たちを巻き込みながら、全てのデータを公開し、情報を発信していくしかない。それは、近代化・工業化でゆがんだ日本農業の修正でもある。地域資源を上手に活かしながら、人と資源を循環させていきたい。」農業現場と結び付いた本来の農学を復権すべきであるというメッセージを、農学研究者の一人として心に刻みたい。
 「日本農業新聞」(14年6月8日)


「東京新聞」(14年5月12日)、「プレス民主」(14年5月16日号)、「ふぇみん」(14年5月25日号)、「ガバナンス」(14年6月号)、「日本農業新聞」(14年6月8日)、「出版ニュース」(14年7月下旬号)、「むすぶ―自治・ひと・くらし―」(14年9月号)などで紹介されました。

★松岡正剛氏執筆のブックナビゲーションサイト「千夜千冊」第1609夜で紹介されました。(2016年6月3日)
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