|
◎書評
「街人たちの楽農宣言」は、都市で暮らしつつ耕すことを実現した勤め人たちや、農を通して生きる力を身につけていった子どもたちの畑楽(はたらく)リポート。土地の借り方や耕し方のイロハも収録。(『毎日新聞』97年5月7日・抜粋) -----
青春時代にむさぼり読んだヘルマン・ヘッセの名前を先ごろ久しぶりに新刊本で見ました。『庭仕事の愉しみ』です。それに刺激されて店頭を眺めると、"農"関連コーナーのにぎやかなこと。 『ここまでできる週末菜園』『プランター菜園/畑がなくてもできる野菜づくり』『シルバー農園のすすめ』などなど、いかなる要望にも対応できる豊富さです。しかし、都会に住む私たちは、あの宮沢賢治のように「下ノ畑ニ居リマス」というようなわけにはいかないのが現実でしょう。 その中で、本書『街人たちの楽農宣言』は、さまざまな難題に、果敢に立ち向かった人々の「楽しみに満ちた苦労話」と専門家からの提言・解説を盛り込んだ「楽農のススメ」になっています。 "楽農"とは、「楽な農」ではなく、「楽しい農」ということ。農は「自らの心身を動かし、自然や生き物とつきあう機会」を失った都会人の、いや「人間だれにも必要な営み」と呼びかけているのです。 横浜、日野、鎌倉、武蔵村山、八王子、調布などに住む人が、それぞれ「農」を始めた動機も目的もさまざまです。 そして、"農"に携わっていると、いろいろ見えてくるものがあるようです。 「生命を育てる耕作は知識と経験、勘と体力と意志とを動員して、土に働きかける活動だ」(河合正嗣) 「農作業は私たちの目の高さを地中の微生物にまで下げ、共存の価値観をはぐくむ教育現場」(下重喜代) 「土を耕しながら自らを耕している。『農』のなかには、そういう意図を越えたものがある」(石田周一)
(『アサヒタウンズ』97年4月20日)
※そのほか、『食品と暮らしの安全』(96年12月)、『日本農業新聞』(96年12月18日)、『ほんコミニケート』(97年1月)、『アースデイニュース』(96年12月)、『晨』(97年1月)、『自然食通信』(97年1月)、『サピオ』(97年2月)、『田舎暮らしの本』(97年5月)、『武蔵野から』、『女子教育もんだい』(97年春)、『北海道新聞』(96年12月26日)、『区画・再開発通信』(97年5月)、『都市問題』(97年6月)、『エコノミスト』(97年3月25日)などで紹介。
<目次>
はじめに 明嶺哲夫
第1章 街を耕せ
1 一人で六〇〇u耕す超人 河合正嗣
<アマチュアのための畑作り講座>
2 脱サラし、畑中心の生活へ 高須晋弘
<素人田んぼの借り方と管理>
3 耕しながら谷戸を守る
相川明子
恩田の谷戸ファンクラブ
野川で遊ぶまちづくりの会
4 田んぼや雑木林は公園となり得るか 十文字修
ユギ・ファーマーズ・クラブ
5 ぼくたちが田んぼを借りられなくなったら理由 辻本明
<上手な畑の借り方、農家との付きあい方>
6
小さな畑の大きな思い 中尾ひろえ
<草・虫対策あれこれ>
グループ目高舎
7 家庭菜園の愉快な人びと 山田桂子
個人耕作
<ちょっと大変だけど堆肥作りも覚えよう>
第2章 人を耕せ
1 野菜も味噌もジャムも作る養護学校 宮本透
<そろえたい道具>
2
「ぼくの鍬」と「わたしの苗」 浅田健一
<干ばつ時の水のやり方>
3 あおけん物語 下重喜代
神奈川農環境自主保全協力グループ・こさく
4 見えないものを耕す日々から 石田周一
<種選びと苗作りのコツ>
the耕作くらぶ
第3章 <座談会>学生たちは農をめざす?
第4章 市民が耕す担い手だ
あとがき 石田周一
|