『利潤か人間か
 ─グローバル化の実態と新しい社会運動』

北沢洋子
2003年/A5判/216ページ/2000円+税


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◎書評
 「世界銀行などの融資は途上国のためになっているか、貿易の自由化で誰が利益を得ているのかなど、論点をわかりやすく整理。」(『週刊金曜日』2003/4/11、455号)

 冷戦後、自由市場経済が進行し地球規模で貧富の差が拡大した。グローバル化を進める世界貿易機関(WTO)などに対抗して公正な世界を求める社会運動や非政府組織(NGO)が登場した。本書はグローバル化の実態を示し、両者の対立の構図を具体的に解き明かす。理論分析ではなく、運動の描写が豊富で説得力がある。(『西日本新聞』03年5月12日)

 冷戦後の一極化した世界では、利潤第一の市場原理が幅を利かせ、経済のグローバル化が進んだ。こうした新自由主義(ネオリベラリズム)を主導したWTO(世界貿易機関)や、IMF(国際通貨基金)、世界銀行など国際機関について歴史的な経緯を含め解説。これに対抗する広範な反対運動を紹介しつつ、グローバル化が世界の貧困層をますます困窮させている実態をえぐりだしていく。(『東京新聞』03年7月6日)

ほかにも、 『出版ニュース』(2003/5/上)、『ふぇみん』(03年4月25日)、『軍縮問題資料』(03年6月)、共同通信配信(『四国新聞』03年5月11日、『北海道新聞』03年5月4日、『長崎新聞』03年5月11日)などで紹介されました。

<目次>

 プロローグ 新しい社会運動の登場
 1 「反グローバリズム」の大きなデモ
 2 ヨーロッパの反グローバリゼーションの熱い波
 3 人びとはなぜグローバリゼーションに反対するのか

第1章 格差を増大するグローバリゼーション
 1 国家予算をしのぐ多国籍企業の収益
 2 多国籍企業がエイズ対策を阻む.
 3 グローバルなカジノ経済が人びとを脅かす
 
第2章 影響力を強めてきたIMF・世銀
 1 新国際経済秩序の樹立宣言
 2 国連が退場し、IMF・世銀が登場
 3 救済融資と引換えに途上国へ介入するIMF
 4 構造調整融資へシフトした世銀
 5 新たな債務危機
 6 国連に取って代わろうとする世銀

第3章 貿易の自由化を促進するWTO
 1 ガットからWTO設立まで
 2 シアトル――失敗への道
 3 ドーハで何が決まったのか
 4 ドーハの勝利者は誰か
 5 進まない交渉

第4章 国際政治を動かしてきたNGO
 1 国連を舞台としたNGOの活躍
 2 世銀と多国籍企業に対する活動やキャンペーン
 3 途上国の開発NGOの役割
 4 NGOの封じ込めに出たヨハネスブルグ・サミット

第5章 グローバリゼーションと闘う人びと
 1 一九九九年一一月、シアトルWTO閣僚会議
 2 二〇〇〇年四月、ワシントンIMF・世銀会議
 3 二〇〇〇年九月、プラハIMF・世銀年次総会
 4 二〇〇一年七月、ジェノバG8サミット
 5 岐路に立つ開発協力NGO

第6章 最貧国の債務の帳消し
 1 ケルン・サミットでの「政治的勝利」
 2 債務帳消しをめぐる攻防
 3 日本政府の債務帳消しの実態
 4 沖縄サミットでの後退とジュビリーの合意
 5 債務帳消しへの新たな動き
 6 日本の債務帳消し運動の課題
 7 ようやく債務帳消しを発表した日本政府

第7章 資本投機を規制する為替取引き税
 1 貧困をなくす資金源としての為替取引き税
 2 為替取引き税は、なぜ復活したのか
 3 為替取引き税の実現へ

第8章 もうひとつの世界は可能だ
 1 エリートに対抗する国際会議
 2 反グローバリゼーション運動の理論と戦略

エピローグ ネオリベラリズムの危機
 1 史上最大のエンロン社の破産
 2 企業犯罪と政治スキャンダル
 3 ネオリベラルな市場経済の破綻