『地方から政治を変える』

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地方議員政策研究会
98年/四六判/248ページ/1700円
+税

 

◎書評

 中央政界ではまた、連立の大きなうねりが進行中です。そのもとになったのは、今年7月の参議院選挙。「無党派」層が吹かせた大きな風は、既成の政党と政治システムに対する厳しい批判だったと言えるでしょう。そうした無党派の地方議員たちが、『地方から政治を変える』を刊行しました。
 地方議員政策研究会は、全国革新議員会議や代理人運動、環境問題地方議員連盟に参加していたメンバーを中心に5年前に結成されました。現在のメンバーは約30人。市民に依拠したスタイルを基本に環境保護や反原発、人権、マイノリティ、フェミニズム、情報公開、市民自治などの運動に取り組んでいるそうです。
 同書は、地域で新しい政治スタイルを実践してきたメンバーの活動の記録であるとともに、分権の時代を担う地方政治や住民の意思を反映する地方議会の在り方についての提言の書ともなっています。
 来年は統一地方選挙の年。「この本を読んで、地方政治のおもしろさを感じて、『よーし選挙に立候補してみよう、こんな議員たちをつくり出していこう』と行動する人が増えてくれれば」と、松谷清・静岡市議は書いています。来春はどんな風が吹くのでしょうか。(『毎日新聞』98年11月15日)

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「佐高信の政経外科」
 来春の統一地方選挙を前に、推薦依頼が引きもきらない。たいていはお断りしているが、いろいろ応対していて、ちょっと違うのではないかと思うのは、政党との関係である。いわゆる良識派に限って、金科玉条のように無所属を掲げる。政党に属していないことが潔癖の証明のように主張するのである。プロにならずにアマのままでと、よく口にする。しかし、何期も議員をやっていて、自分はアマでございというのは甘えなのではないか。私はそこに、ゴーマンというか、鈍感の臭いをかぐ。
 それよりは、沈みかかった政党でも、そこに属して中から変えようと努力している人を応援したいと思うのである。
 『地方から政治を変える』に登場している地方議員たちにも「私たちいつまでもアマよ」的ノーテンキさを感ずるが、中で異色的な山田達也(新潟市議)のコラムがおもしろかった。題して「議員には、凄みとひらめきも必要です」。
 特別委員会の視察旅行で広島に行った時のこと。夜の宴会に出ないで知人と会い、ホテルに帰ってきたら、部屋のある階のエレベーターの前に、同僚議員のSが一糸まとわぬ姿で横たわっていた。彼は自民党の中堅で、山田がジーパンで議会に出ようとした時に、議会の権威を振りかざして「委員会には出さない」と一番スゴんだ議員だという。
 山田はしっかりとオドシのタネを握っておくことにした。部屋に帰ってカメラを取り、Sの「破廉恥な全裸写真」をフィルムにおさめたのである。それからSを起こし、浴衣を着せて、部屋まで連れて行った。
 私はこの山田の「目には目を」的行動を断固支持する。生半可なアマ意識にこだわっていては、汚れたプロたちに対抗できないのである。(『サンデー毎日』98年12月6日)

※そのほか、『朝日新聞』(99年2月8日)、『読売新聞』(98年10月28日)、『晨』(98年12月)、『ほんコミ』(99年1月)、『自治研』(98年12月)などで紹介されました。

<目次>

はじめに
第1章 地方から政治を変える
第2章 私たちは、こう変えてきた

 1 自治体横断的な政策の実現
 (1)淡水化を阻止した市民投票条例    中川健作
 (2)議員発の海外協力 松谷清
 (3)「従軍慰安婦問題」奮闘記    武田貞彦
 2 新しい政策の実現
 (1)都市部の再生    小枝すみ子
 (2)町並み景観を生かした地域づくり    福崎やすお
 (3)路面電車の復権    横田悦子
 (4)在日外国人の人権を守る    猪股美恵
 (5)時のアセスメント    大嶋薫
 3 環境破壊との闘い
 (1)不当な埋め立てに反対し、海を取り戻す    増本亭
 (2)断念させたゴルフ場開発    繁田智子
 (3)柏崎原発現場から    矢部忠夫+武本和幸
 (4)関西国際空港の反対から見えてきたもの    小山広明
 <コラム>公共事業より環境を優先させる政策を    高橋登

第3章 地方主権の時代の自治体政策
 1 地方政府の可能性    小田鈴子
 2 公共事業依存を越えた産業政策    北野進
 3 環境自治体の創造    披田信一郎
 <コラム>環境自治体をめざして    村田民雄
 4 高齢化社会と介護・福祉    山口たか
 5 食といのちを守る    山田紀子
 <コラム>0157事件を教訓に安全な給食を    吉井玲子
 6 開け!教育行政    佐藤ひろこ
 7 男女平等を地域から    次田のり子
 8 地域からの安全保障    続博治

第4章 分権型社会を担うに足る地方議会を    酒井一
 <コラム>議員には、凄みとひらめきも必要です    山田達也
 <コラム>議長選で候補者に所信表明    森典子
 <コラム>ネクタイ騒動顛末記    伊藤裕希
 <コラム>慣例を少しずつ変えていく    桂むつ子

第5章 地方議員・地方政府・ローカルパーティ    松谷清
第6章 日本における新しい政治と「虹と緑の五〇〇人リスト」    畑山敏夫
第7章 地方議員と国政    松谷清

<資料>開かれたテキストとしての六つの政策−虹と緑の五〇〇人リスト」マニフェスト案