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<書評>
はだしで山道を駆け、木の枝をつかんでがけを登る。野性のムカゴやクワの実をおやつに、水辺では裸で生き物とたわむれる。ここに登場する子どもの姿は、人が本来持っている生命力のたくましさや柔軟性を教えてくれる。
神奈川県鎌倉市の「山崎の谷戸」と呼ばれる緑豊かな谷を舞台に13年、自主保育を続けるグループの著作。春夏秋冬、それぞれの逸話を集め、親たちの日誌や写真を添えて活動を紹介した。
小さい組の子は言葉もおぼつかない1、2歳児。転んでは泣き、友達にたたかれて大泣き。花ひとつ虫一匹に歓声を上げ、握りしめて確かめる。大人の最小限の手助けのもと、自然の仕組みだけではなく、けんかの方法や仲間への思いやりも学んでゆく。
「危ないって言ってると気がつかないものもあるよね」「子どもの自然な発達がどのようなものかを知った」と感想を寄せた親たちも、「野山で遊んだ経験のない人が増えて、ここで子と一緒に変身している」と、保育者の相川明子さん。習い事や英才教育より、こうした子育てがいまや「ぜいたく」なのかも知れない」。(『朝日新聞』97年11月12日)
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JR東海道線大船駅から桔梗山行きの小型バスに乗り約15分、「日当たり公園」が集合場所だ。午前9時半、母親に手を引かれた2、3歳児十数人が集まってくる。保育専従者で会の発起人でもある相川明子さんのほか、母親3人が付き添う。三方を山に囲まれた山崎の谷戸と呼ばれる住宅地の谷間一帯が同会の遊び場所だ。大人一人が通れるか通れないかの細い山道を子供が走って進む。かと思うとどんぐりやバッタ、虫の死がいを見つけては立ち止まる。急な上り坂は木の枝や根っこを必死の形相でつかみながら、下り坂はおしりですべってくる。5、6分もするとみんな真っ黒だ。 こうした13年間の会の活動をまとめるにあたり、かかわった母親からさまざまな声が寄せられた。「四季折々の自然の風景や生き物と友達になって、思い切りどろんこ遊びができたこと。大人がいつも暖かく『待ち』の姿勢で見守ってくれたこと。こどもの人間形成の根っこの部分に不可欠な栄養素となるでしょう」 特定の園舎はなく、青空の下で保育を続けてきた。少しぐらいの雨なら、自然の中で遊び、お弁当を食べて半日を過ごす。 「現代は子育てに関する情報はたくさんありますが、生活の中に生かせるようなものが少ない。核家族化が進み、地域共同体も失われ母と子がぽつんと隔絶されています。出来上がった組織やシステムにとらわれず。何かあるごとに自分たちの創意工夫で進めることが大切。その楽しさは自主保育だからこそです」と相川さんは話す。(『毎日新聞』97年11月7日)
※そのほか、『新文化』(97年10月2日)、『ふぇみん』(97年11月25日)、『月刊クーヨン』(98年1月)、『月刊現代』(98年1月)、『幼稚園ママ』(98年1月)、『首都圏コープ事業連合会』(98年1月)、『週刊読書人』((98年1月9日)、『子どもとゆく』(98年1月)、『晨』(98年2月)、『野鳥』(98年3月4日)、『教育新聞』(98年3月23日)、『ほんコミニケート』(98年4月)、『保育とカリキュラム』、『週刊金曜日』などなどで紹介。
<目次>
●春 根拠地は谷戸の緑地 1 花を摘む 2 葉っぱのおふね 3
はだしで歩く 4 泥ん子、どろどろ 5 竹の子づくし 6 野の草や実を味わう 7 生き物をつかまえる 8
どうやって生まれるの 9 泣く 10 保育は母の当番制
●夏 子どもたちがなかよし会に慣れてくる 1 川に入る 2 雨の日も平気 3
畑で野菜を作る 4 聴き分ける 5 海でまっぱだか 6 ホタルの紙芝居 7 お弁当も外がいい 8 おみやげ 9
薬もティッシュもいらない 10 なかよし会の歌
●秋 まとまりができ ときには遠出も 1 いい匂い 2 山の幸 3
秋の海 4 お化粧 5 木がゆれる 6 誕生会には人形劇 7 収穫したサツマイモのゆくえ 8
親睦会とお泊まり会 9 既成のおもちゃはいらない 10 かげふみ
●冬 信頼感が生まれてくる 1 落ち葉 2 つるは人気者 3 助け合い 4
やぶこぎ 5 かくれんぼ 6 予定は未定 7 つらら、氷、雪 8 いつでも薄着 9 鬼さがし 10
春の気配
・野性化してきた、なかよし会 ・自然と仲間が子どもを育てる ・子どもと親が育ちあっていく あとがき
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