エスニック・マイノリティに未来を拓く――チッタゴン丘陵の紛争から見えてくるもの

下澤嶽、978-4-86187-174-0
C3031、四六判、216ページ、並製
本体価格=2,800円+税

民族を基盤とした国家は、エスニック・マイノリティに不遇な時代を産み出し、無数の「見えない紛争」を生み出した。そのひとつがバングラデシュ、チッタゴン丘陵である。

人口の0.5%にあたるモンゴロイド系で仏教徒やクリスチャンが暮らす国境沿い丘陵地帯で、約20年間紛争が続き、1997年に和平協定が結ばれたものの、その多くは実施されていないばかりか軍やベンガル人入植者が常駐する環境に置かれ、人権侵害や土地収奪などが頻発している。

ここで、どのように紛争に至り、紛争中はそのような虐殺実態があり、和平協定後の社会状況、国際社会の関与がどのように影響を与えてきたかを詳細に見ることで、問題の所在を明確にしていく。この紛争を見通すことでエスニック・マイノリティと共存できる人類の未来の在り方を問う。

2024年2月下旬刊行予定
目次

序章    国際協力の向こう側へ
第1章        エスニック・マイノリティ―集団的主権を得られなかった人々
第2章        チッタゴン丘陵略史―紛争以前 –
第3章        紛争直下のチッタゴン丘陵―和平交渉まで
第4章        和平協定とその脆弱性―遅々として進まぬ和平協定の実施
第5章        沈みゆく丘陵―和平協定後、内紛の暗黒へ
第6章       「先住民族はいない」言説の誕生―先住民族の権利に関する国連宣言の脆弱性
第7章        多民族連邦国家への道―人類の生き残りをかけた選択

著者プロフィール

下澤嶽(しもさわ・たかし)
1958年愛知県豊橋市生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部教授。専門:バングラデシュ研究、国際協力、NGO、紛争研究。大学卒業後、81年から英国のCSVの長期ボランティアに1年間参加。帰国後は日本青年奉仕協会、世田谷ボランティア協会を経て、88年から93年までシャプラニール=市民による海外協力の会の駐在としてバングラデシュへ。98年に同会事務局長。02年7月に退職。主著=『開発NGOとパートナーシップ――南の自立と北の役割』(コモンズ、2007年)。共著=『ロヒンギャ問題とは何か~難民になれない難民』(明石書店、2019年)、『2018 世界の社会福祉年鑑』(旬報社、2018年)。