グローバリゼーションと発展途上国

吾郷健二 著
A5判/298ページ/本体3500円+税
2003年1月/ISBN 978-4906640607

新自由主義に基づくWTO体制やグローバル化の推進は、途上国にどんな衝撃を与えたか。不公正な国際金融システムをどう改革すればよいのか。膨大な文献と綿密な分析によるグローバリゼーション批判。

目次

 序 章 本書の課題と構成
  1 本書の構成
  2 オルターナティヴ・モデルの探求をめざして

第Ⅰ部 WTO体制と発展途上国
 第1章 WTO体制と発展途上国――南北問題観の歴史的転換
  南北問題論のパラダイム転換
  南北問題(論)の登場――UNCTADの生誕
  債務危機と構造調整――UNCTADの「死」とWTOの創設
  ウルグアイ・ラウンドにおける「特別待遇」
  ジュラシック・インスティテューション――意思決定の先進国独占
  新たな転換の予兆

 第2章 ドーハの意味――WTO第四回閣僚会議
  新交渉の立ち上げ
  ドーハ宣言
  ドーハの意味
  先進国の脆い「勝利」

第Ⅱ部 ネオリベラル改革とラテンアメリカ
 第3章 債務危機・通貨危機とラテンアメリカ
  債務危機の意味――グローバリゼーション・プロジェクトの始まり
  「静かな反革命」――新自由主義改革の三段階
  新自由主義改革の現実
  九〇年代通貨危機と世界システム─―三つの危機
  自立・自主の多様性の未来を ――オルターナティヴを求めて

 第4章 経済社会開発モデルとしてのネオリベラリズムの意味――メキシコを事例として
  三つの観
  経済政策の展開=ネオリベラリズムの軌跡――累積債務危機からNAFTA
  ペソ危機=「最初の深刻な二一世紀型危機」=ネオリベラル・グローバリゼーションの危機
  危機への対応――IMFとアメリカ=八二年と九五年
  メキシコのジレンマ――ネオリベラリズム政策の矛盾
  メキシコの政策選択――統合の未来か自立の未来か?
  メキシコのネオリベラリズム・モデルの意味米

第Ⅲ部 国際金融システムと発展途上国の通貨危機
 第5章 国際金融システム改革論の行方
  アジア危機の意義
  改革論の概観
  三つの彌縫策
  国際通貨システム
  民間関与と債務問題対策
  自浄能力の喪失

 第6章 資本移動の規制論
  通貨危機と資本移動
  資本自由化の論理とその批判
  資本移動の規制
  チリとマレーシアの資本流入規制
  マレーシアの資本流出規制
  ケインズ主義の復権

 第7章 開発金融と投機的資本――いわゆるトービン税をめぐって
  トービン税の復活
  マクロ政策手段としてのトービン税
  技術的な実行可能性
  税収源と開発援助
  トービン税キャンペーン
  ポルトアレグレの未来

 あとがき

書評

書評オープン


 ネオリベラリズム路線にもとづくWTO体制やグローバル化の推進は、発展途上国にどのような影響をもたらしたのか。本書は、ラテンアメリカとりわけメキシコの事例を中心に、グローバリゼーションの問題を批判的に検証する。著者は、現在のグローバリゼーションを歴史的必然とは見ない。それは、金融資本の利害に支配された先進国とWTO(世界貿易機関)に代表される国際機関が政策的に推進しているものだと説く。
南北問題論のパラダイム転換から、ラテンアメリカにおける債務危機・通貨危機の表れ方、経済社会開発モデルとしてのネオリベラリズムの意味、国際金融システムの欠陥といったテーマを、精緻なデータ分析をもとに論じながら、不公正なシステムを変革し、新自由主義グローバリゼーションを超えるオルターナティブ・モデルを提起する。日本の「聖域なき構造改革」の倒錯と破産も本書から見いだせよう。

『出版ニュース』(2003年4月上旬号より)


このほか、『月刊 オルタ』(03年5月)、『アジア経済』(04年3月)、『世界経済評論』(04年4月)でも紹介されました。