森林業が環境を創る──森(やま)で働いた2000日

安藤勝彦(林業士)著
四六判/192ページ/本体1700円+税
2004年2月/ISBN 978-4906640720

環境保全と林業の活性化は両立する!
50代で新たに森林作業員となった著者が、日々の厳しい仕事をとおして感じた森の大切さや価値、働く喜びを実体験から活写。
環境を守り、温暖化を防ぐために、適切な間伐や針広混合林づくりを提唱する。

目次

プロローグ 人間味あふれる清流の地へ

起 山仕事の厳しさと魅力
承 源流の暮らし
転 森の現場からの思索
結 森林業というフロンティア

著者プロフィール

安藤勝彦(あんどう・かつひこ)
1945年生まれ。大学卒業後、国際協力の仕事などを経て、97年以来岐阜県川上村の森林組合に勤務する。

書評

書評オープン


 川上村森林組合の森林作業員、安藤勝彦さん(59)が、厳しい山仕事を通じて将来の森林づくりへの考え方などをまとめた本『森林業が環境を創る』(コモンズ)を出版した。環境保全や温暖化防止のために、適切な間伐や針葉樹や広葉樹の混合林育成の大切さを訴えている。
本は、起承転結の四部構成。前半は、仕事の大変さや村での生活などを記載、後半では、現場体験を基に従来の木材生産業から環境生産業への転換の重要性を指摘し、森林と林業が融合した独自の考え「森林業」を提唱している。

『中日新聞』東濃総版(2004年2月13日より)


 副題に「森(やま)で働いた2000日」とあるように、著者が97年に52歳で岐阜県の森林組合に入り、キツイ肉体労働に悪戦苦闘しつつ、技能を磨いていった実践と思索の記録。
真夏。ズボンまでベタベタになるほど作業で汗を流し切ると、五臓六腑ももだえるほどビールが飲みたくなる。一気に飲み干す。まさに生を実感する瞬間。
現場での体験から、著者は木材生産の林業から環境生産としての森林業への転換を説く。

『毎日新聞』(2004年3月24日より)


 著者は五十二歳で岐阜県川上村の森林組合に就職した。環境保全と林業の融合の可能性を探るためだ。
山仕事の厳しさは半端ではなかった。都会の生活に慣れた体は悲鳴を上げ、技能もなかなか身につかない。それでも続けることができたのは、周囲の助けと自らの意志の強さからだ。
森林が地球温暖化抑制に有効な力を発揮できるよう活動する著者。これまで日本は、植林することにばかり力を注ぎ、森林全体の将来を考えてこなかったと批判する。

『長崎新聞』『北日本新聞』(2004年4月11日より)


 著者は環境問題への深い関心から50代で林業の世界に飛び込んだ。本書は、きつい肉体労働に苦しみながら、技能を磨いていった実践と思索の記録。「森林業」とは著者の造語。木材生産業から環境生産業としての森林業への転換を、山仕事の現場での体験を通して訴える。

『自然と人間』(2004年3月号より)


※そのほか、『毎日新聞』(04年5月7日)、『出版ニュース』(04年4月号)、『農業経済新聞』(04年7月14日)、『林業経済』(05年1月号)でも紹介されました。