雪かきで地域が育つ――防災からまちづくりへ[2刷]

上村靖司・筒井一伸・沼野夏生・小西信義 編著
A5判/224ページ/本体価格2200円+税/2刷
2018年11月/ISBN:978-4-86187-156-6 C1036


過疎化・高齢化が進むなかで、雪の問題を地域の自分事として捉え直し、
「新しい共助」の仕組みをどう構築するか。
共助・共感・共創・共働・共生にもとづく全国各地の先進事例と、
支援と受援、ボランティア・地域福祉などのキーワードから、
地域除雪のあり方を考える。
<小田切徳美・明治大学教授推薦>

 

目次


はじめに


第Ⅰ部 雪対策の進展と地域の弱体化


第1章 共助による地域除雪の歴史
第2章 豪雪地帯の地域振興策
第3章〝雪かき〟から始まる地域づくり
第4章 雪国でない地域の大雪「たまさか豪雪」


第Ⅱ部 雪かきで育った15の事例


第1章 共助 地域一体となって困りごとにタックル
1 地域の存続のためにユンボが欲しい! ●新潟県長岡市小国八王子
2 住民主導で苦情ゼロに ●岩手県滝沢市
3 西日本型「共助の除雪」の試み ●島根県飯南町・兵庫県香美町


第2章 協働 雪だるま式に輪を広げる
1 600人の雪かきボランティアが集結する日 ●北海道上富良野町
2 社会福祉協議会同士の広域連携 ●群馬県片品村・榛東村
3 手探りの雪害ボランティアセンター運営 ●新潟県長岡


第3章 共感 ヨソ者を受け入れ、ヨソ事を取り込む
1 旧炭鉱街が「ヨソ者」で元気に ●北海道岩見沢市美流渡地区
2 広域で仲間をつくりヨソ事で地域を変える ●山形県尾花沢市
3 移住希望者にこそ雪かき体験を ●北海道当別町


第4章 共生 補い合う折り合いのつけ方
1 労力交換でコミュニティ連携 ●山形県酒田市日向地区・鶴岡市三瀬地区
2 ないない尽くしのたまさか豪雪 ●群馬県前橋市
3 流雪溝で地域のリノベーション ●北海道苫前町


第5章 共創 違いを掛け合わせ新しい価値を創る
1 ヤクタタズ×豪雪集落――反転の方程式 ●越後雪かき道場
2 企業戦士+雪かきボランティア――協働CSRの方程式 ●北海道CSR研究会
3 札幌市民×雪はねツアー=新結合の方程式 ●北海道倶知安町


第Ⅲ部 地域が育つキーワードを読み解く


1 コミュニティと地域運営組織
2 困りごとと不安ごと
3 雪かきと地域福祉
4 地域の受援力
5 ボランティアと支援の本質
6 エンパワーメント(内的獲得感)
7 除雪ボランティア
8 有償ボランティア
9 災害ボランティアセンター
10 雪害ボランティアセンターの運営と安全管理
11 関係人口と交流の鏡効果
12 ボランティア・ツーリズム
13 移住と定住
14 受け入れ疲れ
15 ソーシャル・キャピタルと労力交換
16 地域通貨
17 自治体間の防災協定
18 民間の防災協定 諸橋和行
19 流雪溝とその運営
20 課題解決と主体形成
21 人身雪害リスク
22 除雪安全対策
23 企業の社会的責任(CSR)
24 共有価値の創造(CSV)


第Ⅳ部 雪問題の今後の展望


第1章 「地域除雪」と広域的な除雪ボランティアの未来
第2章 スノー・イノベーション(Snow Innovation)
第3章 地域除雪のこれからに向けて


あとがき


参考文献

 

編著者プロフィール

上村靖司
1966 年新潟県生まれ。長岡技術科学大学教授、専門は雪氷工学。 共著『中越地震から3800 日』(ぎょうせい、2015 年)など。

筒井一伸
1974 年佐賀県生まれ・東京都育ち。鳥取大学地域学部地域創造コース教授。 専門は農村地理学・地域経済論。共編著『田園回帰の過去・現在・未来』(農文協、2016 年)など。

沼野夏生
1947 年山形県生まれ。東北工業大学名誉教授,専門は都市・地域計画。主著『雪国学』(現代図書,2006 年)など。

小西信義
1984 年兵庫県生まれ。(一社)北海道開発技術センター調査研究部研究員、専門は文化人類学。

 

書評

 

書評オープン

積雪地に住む多くの人にとって、降る雪、積もる雪はゴミである。歩きにくい。道が狭くなる。(中略)数え上げたら切りがない。空からゴミが降ってくる。ウンザリとため息の冬だ。しかしため息だけでは何も変わらない。と、このウンザリ雪問題を新たな視点から解決すべく、さまざまな取り組みをしている地域・人たちをリポートしたのが本書である。(中略)他地域から雪かきボランティアを募って、町村の雪処理を手伝ってもらおうという、町村の雪処理を手伝ってもらおうという、上川管内上富良野町や岩見沢氏など道内、東北でのさまざまな試みが紹介されている。ヨソ者たちを受け入れることで活性化する地域。ヨソの地域に入ったことで変わるボランティアたちの意識。ゴミだった雪が宝の雪に変わったのである。災害にもつながる雪。そこから生まれるのは、ヨソ者たちが出会う新しい地域社会なのかみしれない。

『北海道新聞』(2019年1月6日号)


雪の問題を地域の自分事として捉え直し、「新しい共助」の仕組みをどう構築するか。雪かきで地域が育った全国各地の15の事例を紹介する。また、それらのストーリーの意味を読み解き、理解を求める24のキーワードを解説。さらに、広域ボランティアやスノー・イノベーションの可能性について論じている。地域での除雪に取り組む自治体や住民に大いに役立つだろう。

『ガバナンス』(2019年1月号)


雪国の人間にとって雪は生活を不便にし、発展を阻害する「厄介もの」。しかし悩んでばかりもいられない。雪かきの重労働を逆手に取り、地域づくりにつなげる試みが各地で行われている。本書はその具体例を示しながら「スノー・イノベーション」の可能性を探る。 (中略) 雪国には元来、住民同士の欠かせない「共助」があった。昭和30年代まで、積雪の朝は自宅から隣の家まで住民が「道踏み」をするのが暗黙の了解だった。共通の困りごとを互いの力で解決するプロセスこそ、地域コミュニティーを醸成する重要な役割を担っていた。 各地の活動はある意味、こうした共助の関係を時代に合った形で取り戻す試み。むろん、労力の安定確保や費用の問題など課題は残る。しかし克雪への取り組みが住民の主体性と創意工夫を生み、新たな交流を創出する。決して悲観的でなく、むしろ軽やかに挑戦する人びとの姿に地域づくりのヒントを見出したい。現場のリポートに加え、研修者らが活動のキーワードや今後の展望をまとめている。

『河北新報』(2019年1月13日)


豪雪は地域資源の一つであり、そこに暮らす人たちが助け合って対策する機会・環境を作り出す要因にもなっていると前向きに捉えた方が良い結果を生みやすい。イノベーションの近道になる。そんな元気・勇気を読者に与えてくれる。(中略)本書はこれから地域除雪に取り組もうとする地域や団体の参考になるばかりでなく、雪がふらない地域に住む人にとっても「楽しみながら雪国へボランティアとして参加するための切っ掛けをもたらすものになる」と確信する。ぜひ多くの人に手に取っていただきたい一冊である。

『新潟日報』(2019年2月17日)


『北海道新聞』(2018年11月29日)で紹介されました。
『自治体学』(2018年11月号)で紹介されました。
『岩手日報』(2018年12月8日)で紹介されました。
『日本海新聞』(2018年12月13日)で紹介されました。
『朝日新聞(新潟版)』(2018年12月16日)で紹介されました。
『地方財務』(2019年1月号)で紹介されました。
『月刊福祉』(2019年2月号)で紹介されました。
『日本海新聞』(2019年2月25日)で紹介されました。
『日本農業新聞』(2019年2月24日)で紹介されました。
『季刊地理学』(2019年70巻4号)で紹介されました。
日刊工業新聞』(2019年3月18日)で紹介されました。
『熊本新聞』『山形新聞』『新潟日報』(2019年3月30日)で紹介されました。
『聖教新聞』(2019年4月2日)で紹介されました。