イナカをツクル ――わくわくを 見つけるヒント

嵩和雄 著、筒井一伸 監修
A5判/112ページ/定価=本体1300円+税
2018年9月/ISBN:978-4-86187-154-2

若者の田園回帰が止まらない。
ふるさと回帰支援センターへの相談者数は10年間で13.4倍に激増した
自分らしい生き方をしたい!ライフスタイルを変えたい!
どうすれば、うまくいくのか? 受け入れ側は何に気をつければよいのか?
日本で一番たくさん移住相談を受けてきた著者が
体験をとおして教える失敗しないイナカの創り方

第34回農業ジャーナリスト賞奨励賞受賞

目次

01 「田舎」と「イナカ」
02 いのちをつなぐスープ
03 映画の中の農村
04 ゴジラから逃げる日
05 課題解決がビジネスに
06 農村型のワークシェアリング
07 農的暮らしと農地問題
08 地域のなりわいをつくる
09 半農半Xとリスク分散
10 なりわいを継ぐ
11 決断力と現場力
12 ソトヨメたちの集い
13 ムラの知の拠点としての図書館
14 二段階移住のススメ
15 交流から移住へ
16 孫ターンが増えている
17 集落の教科書
18 作法かルールか?
19 お試し暮らしと体験学習の宿泊体験
20 民泊新法と農泊
21 訪日観光客と農山村
22 ふるさと納税とふるさと意識
23 ふるさと納税と地域振興
24 アンテナショップとご当地土産
25 地域力とレジリエンス
26 被災地を支えるヨソモノ
27 集まって住む意味
28 人間関係資本を見直す
29 土地の所有と利用権
30 未来への投資としての人材育成
31 空き家バンクは過疎問題を解決できるか
32 共感を生み出すローカルメディア
33 42年ぶりの結婚式
34 技術を伝承する難しさ
35 地域文化を継ぐもの
36 家を遺すために
37 縮減社会におけるインフラの維持
38 聖地巡礼
39 国防としての地域政策
40 小さな拠点としての共同店
41 ローカル・トラック
42 場と役割
43 覚悟を決める
44 石の上にも……
45 わくわくを創る


地方移住をめぐる現状と課題

「創生ウォッチング」が教えてくれた農山村の可能性――尾原浩子

地域に根差した「創生」を支えるコミュニティとネットワーク
『イナカをツクル―わくわくを見つけるヒント』の読み方――筒井一伸

 

編著者プロフィール

嵩和雄
1972年、新潟県柏崎市生まれ、東京都育ち。東洋大学法学部法律学科卒業、東洋大学大学院工学研究科博士後期課程単位取得退学。2001年に熊本県阿蘇郡小国町に研究のため移住し、(財)阿蘇地域振興デザインセンター研究員、(財)学びやの里研究員として勤務。都市農村交流による農山村活性化の研究のかたわら、九州ツーリズム大学事務局、フリーペーパー作成、廃線跡活用プロジェクトなどのまちづくりに直接かかわる。
現職:NPO法人100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター 副事務局長、立教大学観光学部兼任講師、鳥取大学地域学部非常勤講師。 共著:『移住者の地域起業による農山村再生』(筑波書房、2014年)、『田園回帰の過去・現在・未来――移住者と創る新しい農山村』(農山漁村文化協会、2016年)、『住み継がれる集落をつくる――交流・移住・通いで生き抜く地域』(学芸出版社、2017年)。

 

書評

 

書評オープン

著者は日本で一番たくさん移住相談を受けてきた認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの副事務局長。「孫ターン」という言葉をつくった人物である。(中略)写真やデータなどとともに、1つのテーマを2ページでコンパクトに掲載。鳥取県智頭町(ちづちょう)の疎開保険制度や北海道上士幌町(かみしほろちょう)のふるさと納税といった具体的な事例も豊富だ。特産品やワーキングホリデーなどの記述もあり、読者がいま気になっている内容が見つかるに違いない。巻末では、地方移住をめぐる現状と課題を提示している。

『田舎暮らしの本』(2018年11月号)


著書は、農村活性化に関わった経験を基に短編のコラム形式でまとめた。掛け金を払えば災害時に一週間食事つきで都市住民を受け入れる「疎開保険」(鳥取県智頭町)や、山を荒らす害獣の肉を使ったペットフードの開発(兵庫県多可町)など、全国の取り組みを紹介している。(中略)都内の大学で講師も務める嵩さんは「若い人の間で地方移住への関心が高まっている。ただ、学生の多くが首都圏出身で田舎がない。この本をきっかけに地方を訪ねて自分の田舎をつくってほしい」と話す。

『新潟日報』(2018年11月21日)


地方創生といっても幅広く、共感するタネを多く転がっています。そのヒントを見つけてもらえたらうれしいです。ふるさと回帰支援センターに携わり9年。都市と農村の壁が低くなったことを実感しています。移住した人が楽しく暮らしている話を聞き、私自身、わくわくすることが多く、その好奇心を読者と共有したいです。どのページからでも読める構成が本書の特徴。地域に住んでいる人の、実践の積み重ねが地域づくりなのでテーマは多岐に及びます。取り上げたテーマには「誰でも地方創生の主役になれる」というメッセージが共通しています。

『日本農業新聞』(2018年10月28日)


この本は地方に興味がある人が「もっと地方のことを知りたい」「イナカに行ってみたい」と好奇心を持ってくれるように書かれた。右ページに記事、左ページに写真や図や解説、という形で45項目。(中略)「東京一極集中の流れは止まらない」「地方創生は失敗だ」という声に負けてはいけない。実はイナカもどんどん変容しつつある。悲観主義に陥ることなく、失敗例に学びつつ、イナカの可能性を追求することには大きな意義がある。そのことをこの本は教えてくれる。

『都市問題』(2018年12月号)


本編は45のトピックに分かれ、それぞれが「読み切り」スタイルになっているが、単なる地域おこしやUターン・Iターンの事例集ではない。人口減少を背景に地域が抱える課題を提示し、都市との交流や若者を中心とした田園回帰現象の中に解決の方策を探る論考となっている。たとえば「半農半X」や「多業」と呼ばれる新しい生き方、被災地の復興を支える「ヨソモノ」(移住者)の役割、地域力の基盤となる「人間関係資本」の意義などを具体例を通じて分かりやすく論じている。

『毎日新聞』(2019年1月13日)