東京オリンピックの社会学――危機と祝祭の2020JAPAN

 

 

 

 

 

 

 

 

阿部潔
46判 276ページ
本体2200円+税
ISN978-4-86187-166-5 C1036

社会学の視点で東京オリンピックの意味を正面から問い直す本。
過去2回(1940年・1964年)の東京大会との比較と膨大な参照文献をとおして、日本社会の在り方=ナショナリズムの深層/未来のゆくえと五輪の政治的な意味を浮かび上がらせる。

新型コロナウイルスで延期になっても問題は何も変わらない。

目次

プロローグ 2020オリンピックは「〝それ〟が見られず、終わり。」となってしまった


第1章 東京にオリンピックがやってくる――なにが問題なのか?
1 「2020年までに!」の決まり文句
2 新国立競技場のなにが問題だったのか
3 「症候」としての新国立競技場問題


第2章 希望の未来へ─―「オリンピックレガシー」という先物取引
1 オリンピックになぜ「レガシー」が求められるのか?
2 2020年東京大会のレガシープラン――「アクション&レガシープラン2016 中間報告」
3 「東京オリンピック・レガシー」のイデオロギー
4 約束された未来の憂鬱


第3章 栄光の過去へ――「1964年」というノスタルジ
1 「2020」へと向かう日本
2 「ライバルは、1964年」
3 戦後日本における「1964」
4 <希望>としての2020年東京オリンピック


第4章 「幻」からの問いかけ――皇紀二千六百年オリムピックの実像
1 三度目の東京オリンピック
2 第12回オリンピック東京大会をめぐる時代背景
3 1930年代日本の実像
4 オリンピックをめぐるメディア言説
5 大会組織委員会幹部の建前と本音
6 座談会の場で語る「日本人/男たち」
7 <1940年>と<2020年>の近さと遠さ


第5章 「現在」からの誘い――ソーシャルメディアという共振
1 デジタルメディアとナショナリズム
2 「新たなナショナリズム」の右旋回?
3 ソーシャルメディアによるコミュニケーションの変容
4 「ナショナリズム」の現代的な条件


エピローグ オリンピックを迎える〈わたしたち〉――どこへ向かうのか?
1 2020東京オリンピックの「多様な顔」
2 「若年層」の複雑な思い――NHK世論調査から浮かび上がること
3 「日本にとっての意義」の深層――「東京オリンピックに関する意識調査」の結果から
4 「ポスト2020」の憂鬱

おわりに 〝それ〟はやってこなかったのか?

著者プロフィール

阿部潔(あべ・きよし)

1964年生まれ。関西学院大学社会学部・教授。専門:メディア・コミュニケーション論。主著=『監視デフォルト社会──映画テクストで考える』(青弓社、2014年)、『スポーツの魅惑とメディアの誘惑──身体/国家のカルチュラル・スタディーズ』(世界思想社、2008年)など。

書評オープン


ふぇみん(2020年7月15日)、中国新聞・神戸新聞(共同通信による配信、20年7月21日)、週刊読書人(20年7月24日)、図書新聞(20年8月1日)、クーヨン(20年9月号)、自治研(20年8月号)で紹介されました。